J1に関西4チーム? 多彩なダービー見もの
Jリーグ2部(J2)のガンバ大阪(G大阪)とヴィッセル神戸がそれぞれ1位、2位で1部(J1)へ復帰した。3位の京都サンガも8日のプレーオフ決勝で昇格を決めれば、来季は4年ぶりに関西4チームがJ1に勢ぞろいする。この10年、4チームがJ1にそろい踏みしたのは、2010年の一度しかない。
J2という「幕下」ではあったが、今年の関西勢対決は白熱の好勝負が楽しめた。観客動員も2万人前後と大入り。J1の1試合平均観客数が現時点で1万7062人だから、出し物としてはJ1でも見劣りしない。
「一緒に練習してみて驚いた。すごい。ガンバというより日本の宝」。G大阪の宇佐美貴史を同僚の今野泰幸がべた褒めしたことがある。宇佐美は7月から18試合で19得点、スーパーゴール連発だから、あながち大げさでないのかも。日本代表FW柿谷曜一朗を擁するセレッソ大阪とのダービーは見ものだろう。「宇佐美こそ代表に入れろ」「柿谷の柔らかさの方が上」とファンの張り合う姿が目に浮かぶ。
G大阪ユース育ちの宇佐美は京都府長岡京市出身。駒井善成らサンガ下部組織育ちには10年来の"天敵"だ。神戸の才人・森岡亮太にせよ、サンガのお膝元の京都府城陽市出身で京都・久御山高卒。何かと縁の浅からぬ面々が多い。4チームあれば関西ダービーが計12カード。戦国の合戦よろしく因縁にこじつけてでも決戦を盛り上げたい。
もとより、頂上のリーグに集結したものの、みな下位をうろつくようではダービーもしぼむ。商売もあがったりだ。関西ダービーが活況だったのは、J2なら関西勢も上位で競り合えたから――などとささやかれるような来年のJ1になるようだと、困ってしまう。
(岸名章友)
[日本経済新聞大阪夕刊関西View2013年12月6日付]