JR四国、電車の一部をディーゼルに 今夏9%節電へ
四国旅客鉄道(JR四国)は28日、今夏の電力不足の対応として一部区間で電車をディーゼル車に切り替える検討を進めていることを明らかにした。3月のダイヤ改正や、これまでの節電策と合わせて四国電力の節電要請(2010年比で7%以上)を満たす9%の消費電力削減を目指す。指定された計画停電の区間に運行区域が含まれた場合は該当区間を全て運休せざるを得ないとした。
泉雅文社長が同日の記者会見で説明した。ディーゼル車への切り替え対象となっているのは高松―松山間の特急列車で7、8月の平日午後1時台に高松、松山駅を出発する便。高松発の場合、通常は高松駅から宇多津駅(香川県宇多津町)間を2両編成の電車「いしづち」で運行。宇多津駅で岡山方面から来た5両編成の電車「しおかぜ」と連結し、計7両で松山駅まで運行している。
7月からは、まず高松―宇多津間のいしづちをディーゼル車に置き換える。宇多津駅で乗客はしおかぜに乗り換え、5両編成の電車となる。松山発の場合も同様に乗り換える。ディーゼル車への切り替えと車両編成数の削減で、10年夏に比べて全体で1%程度、電力消費を抑えることができると試算している。
ディーゼル化で燃料費は増加するが編成車両数が減ることで費用も抑えられ、収益への影響は限定的とみられる。効果を見極めながら午後2、3時台など他の列車に広げるかどうかも検討する。
同社は昨年、社屋や列車の消灯や空調抑制などで10年比6%程度の節電をしている。今春の運行ダイヤ改正で車両数が減っていることも2%程度の節電になっていると見ており、合計で9%の節電となる。
計画停電に対しては踏切などが正常に作動しない可能性があるため該当区間で運休する。その場合は収益に大きな影響が出るのは避けられない。
四国の他の鉄道会社も節電策を模索している。
土佐電気鉄道(高知市)は昼間、車両の室内灯の使用時間を短縮。徳島県などが出資する第三セクター鉄道の阿佐海岸鉄道(徳島県海陽町)は軽装で勤務するクールビズを昨年の6月から前倒しして、今年は5月7日から始めた。伊予鉄道(松山市)もクールビズなどに取り組んでいる。
いずれの鉄道会社も運行便数の削減は現時点では検討しておらず、電力需給が逼迫した場合の対応が課題となりそうだ。
関連企業・業界