自民・石破執行部の公認方針に旧安倍派反発 「権力乱用」
石破茂首相(自民党総裁)が政治資金収支報告書の不記載があった議員の一部を次期衆院選で公認しない方針を示したのを受け、党内で賛否が交錯した。不記載議員の大半を抱える旧安倍派議員を中心に反発が広がった。
旧安倍派で党幹部を務めた一人は7日に「権力の乱用だ」と首相の方針を批判した。「派閥が壊れ、党が壊れていく過程にある」と語った。岸田文雄前首相が率いた旧執行部内で一度決めた処分を蒸し返したと受けとめた。
衆院当選4回の議員は「露骨な安倍派潰しだ」と非難した。別の議員は「一事不再理の原則に反する。『ルールを守る』という首相に疑問を呈せざるを得ない」と話した。憲法は同じ犯罪に重ねて刑事上の責任を問わない一事不再理の原則を定める。
「全員検察の取り調べで不起訴になっている。これでは法治国家ではなく人治国家だ」との声もこぼれた。
旧安倍派で非公認になる見通しの西村康稔元経済産業相は記者団に「無所属で立候補する覚悟ができていた。地元や国民に説明を重ねる」と述べた。
同じく非公認になる旧二階派の平沢勝栄元復興相は「決定プロセスには理解に苦しむものが多々ある」とX(旧ツイッター)に投稿した。総裁選で首相を支援した。
党東京都連の井上信治会長は7日、都連会合で党執行部の方針に苦言を呈した。既に公認を前提として衆院選の準備に着手していると説明し「なぜもう少し早く決断してもらえなかったのか。大変遺憾だ」と述べた。
不記載がなかった議員からは評価の声が出た。野田聖子元総務相は国会内で記者団に「自民党がもう一度国民の信任を得るために相当厳しく自らを律していかなければならない。そうした中での首相判断だった」と一定の理解を示した。
石井準一参院国会対策委員長は「執行部で決定したことだ。それぞれの事案に関係する人たちは重く受け止めて選挙で勝ち上がってきてほしい」と要望した。「今回の措置でようやく選挙を戦えるようになった」との声も別の議員から聞かれた。
首相は6日、派閥の政治資金パーティーを巡る不記載があった議員への対応方針を記者団に説明した。
①党が「選挙における非公認」以上の重い処分を決定した議員②「非公認」より軽い処分が継続中で政倫審での説明責任を果たしていない③地元で十分に理解が進んでいない――の3つのいずれかの条件で公認しない意向を示した。
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