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シャープ、23年3月期最終赤字2600億円 パネル工場減損

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シャープが11日発表した2023年3月期の連結決算は、最終損益が2608億円の赤字(前の期は739億円の黒字)だった。テレビ向け液晶パネルの市況悪化に伴い、堺市のパネル工場の生産設備の減損損失などを計上した。シャープが最終赤字に転落するのは6年ぶり。韓国メーカーや中国勢との競争が激しい薄型パネル事業を日本企業が続ける難しさが鮮明になっている。

液晶パネル事業の失敗で経営危機に陥ったシャープは、16年に台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入った。再建途上の17年3月期は248億円の最終赤字だったが、18年3月期に黒字に転換。赤字転落は、それ以来となる。

赤字額は、直近の市場予測平均(QUICKコンセンサス、404億円)を大きく上回った。13年3月期と12年3月期に次ぐ過去3番目の水準となる。営業損益は257億円の赤字(前の期は847億円の黒字)だった。営業赤字は、鴻海の子会社になってからは初めて。

一方、鴻海はシャープの減損損失に伴い、23年1〜3月期決算に約173億台湾ドル(約760億円)の営業外損失を計上した。「シャープに改善計画の提出を求める。必要に応じて経営陣の交代を要求する」としている。

シャープのパネル生産子会社である堺ディスプレイプロダクト(SDP、堺市)の生産設備などについて、多額の特別損失が発生した。将来の収益見通しが悪化したことを受けた措置で、23年1〜3月期にSDPを中心に液晶関連で1884億円、三重県の工場などで生産する有機ELパネル関連で212億円の減損損失をそれぞれ計上した。

シャープは、鴻海の傘下に入るのと前後してSDPを連結対象から外したが、22年6月に完全子会社にした。オンラインで記者会見した呉柏勲社長兼最高経営責任者(CEO)は、SDPに関し「市況が予想以上に変化した。私が最大の責任を追う」と釈明した。子会社化の判断については「プロセスに問題があったとは考えていない」と述べた。

物価高を背景にした世界景気の減速もあり、テレビ向けの大型液晶パネルの市況は低迷している。米調査会社DSCCによると、23年3月のテレビ向けの大型パネル(65インチ)の価格は、新型コロナウイルス禍による巣ごもり需要の反動などで、2年前のほぼ半値になった。

24年3月期の最終損益は100億円の黒字を見込む。家電やスマートフォンなど製品ごとにコスト削減を急ぎ、「黒字必達を最優先に考える」(呉社長)。黒字化の根拠は「減損による固定費削減で競争力が高まる」とした。

シャープの前期末の純資産は2223億円で、経営の安全度の目安となる自己資本比率は11.8%と前の期から約11ポイント低下した。自己資本比率は、経営危機だった15年3月期に1.5%に低下したことがある。呉社長らはホンハイから追加の資金支援を受ける考えを否定したが、24年3月期以降の収益と財務体質の改善が大きな課題になる。

薄型パネルを手掛ける日本企業では、ジャパンディスプレイ(JDI)が中国パネル大手の恵科電子(HKC)と提携すると4月に発表した。スマートフォン向けなど中小型液晶パネルを巡る競争激化から収益が低迷するなか、JDIは有機ELパネルの先端技術を中国メーカーに供与して生き残りを図る。(平嶋健人)

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