スマートに使える進化系文具
何でもランキング
仕事や勉強 効率アップ
ペンやノート、はさみ、ホチキス――。文具で最近、機能や性能が大きく向上し「進化系」とも呼べる商品が相次ぎ登場している。過去2年間の新製品から、使い勝手が高いものを専門家らに選んでもらった。
文具の新製品は最近までは一つの文具に何種類もの機能を搭載した多機能化が主流だった。数年前から「従来の文具を一度見直して、構造を強化した文具が注目されるようになってきた」(「ステイショナー」編集部の北沢孝之さん)。
今回のランキングでも、見た目に大きな違いはなくても使ってみると従来品に比べて機能が大きく向上した文具が並んだ。1位の「バイモ11フラット」は一見、普通のホチキスだが、ハンディータイプでは厚い書類をとじられない悩みに応えた。3位の「アリシス」も見た目は通常の穴開けパンチだが、軽い押し心地などが従来と異なる。
こうした文具が注目される背景には、企業の経費削減の影響があるようだ。企業による文具の一括購入が減り、個人でそろえる人が増えてきた。ただ、たいていの文具は100円ショップで買える。より使いやすく、見た目がよい文具を提供しないと、個人は安い100円ショップに流れてしまう。文具メーカーは本来機能の強化など、個人向け商品の開発に一段と力を入れ始めた。
実際「ここ2、3年は機能的な商品やデザイン性の高い商品など、個人を意識した文具が増えている」(「趣味の文具箱」編集長の清水茂樹さん)。東京の銀座・伊東屋でも「最高級ではないけれど、自分で買うなら気に入ったものを、ちょっといいものをと来店する人が多い」と話す。
文具によって仕事や勉強がはかどることもある。「仕事にすぐ効く魔法の文房具」の著者でもある文具コンサルタントの土橋正さんも「発想、記録、整理など目的に応じて商品を選ぶと無駄が省ける」という。
ボールペン、油性でもスラスラ
新製品が目立つのがボールペンだ。主に油性と水性の2種類あり、油性は書いた文字が変質しにくいが、書き味がやや重い。水性は滑らかに書けるが、油性に比べるとにじみやすく、伝票など感圧複写紙の筆記に向かない。
中でも注目されているのが、両者の長所を兼ね備えた油性でありながら水性のような書き心地を目指したペン。6位の「ジェットストリーム」や、10位内に入らなかったが、ぺんてるの「ビクーニャ」などが代表だ。ゼブラの「スラリ」は油性と水性を混合した独自のエマルジョンインクを搭載した。
インク加圧式も人気。かすれることなくすぐ書き始められ、上向きの筆記も可能なのが特徴。トンボ鉛筆の「エアプレス」などがこのタイプだ。
調査の方法 2008年9月以降に発売された新製品のうち、従来品や他社製品と比べて格段に進化していると思われる文具を、文具メーカーの自薦と専門家の推薦により合わせて25商品、候補に選出。専門家7人が実際に触って進化の度合いなどを基準に評価した。さらに文具を使う事務現場の声として、人材派遣会社(日経スタッフ)で事務作業の指導などを派遣スタッフにしている担当者など19人が実際に試し、その結果も一部加味した。専門家は次の通り(敬称略、五十音順)。
大谷暁(「モノ・マガジン」編集部編集次長)▽北沢孝之(「ステイショナー」「Bun2」編集部主任)▽斉藤潤(「Bungu to Jimuki」編集部)▽清水茂樹(「趣味の文具箱」編集長)▽土橋正(文具コンサルタント)▽中里勇太(「ベスト・ギア」編集部)▽納富廉邦(ライフスタイルライター)
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