中国若手俳優・王星(31)がニセの映画オーディションをエサにタイにおびき寄せられ、誘拐されミャンマーで中国系特殊詐欺グループに監禁されていたところを救出された事件で、王星を誘拐したとみられる人物が逮捕された。ミャンマー東部最大の人身売買業者である広東省出身の男だという。王星は現在、中国に戻っている。香港メディア「星島日報」が9日、報じた。

 タイ警察は、事件に関与した労働派遣会社「阿波羅輝煌(アポロ・ブリリアンス)」の壊滅に成功した。さらに、同社のボスである「金老虎(ゴールデン・タイガー)」の異名を持つ「玉總(ミスター・ユー)」として知られる広東省出身の容疑者を逮捕したという。

 ミャンマー東部ミャワディにいくつもある中国系特殊詐欺グループへの労働力を違法派遣をしていたのは、この男の一味だといわれている。タイで行方不明者になり、ミャンマーで特殊詐欺の手先として使われた中国人の10人中7人がこの一味によってだまされたと指摘されている。

 金老虎の指示で王星を直接、誘拐した人物も逮捕された。

 王星がニセ映画のオーディションに引っ掛かってしまったのは、SNSでオーディションを開催したのが実在の人物だったからだ。アクションインストラクターや映画監督などを経て、俳優コーディネーターとなった人物だった。しかし、この人物は「1か月前、SNSのIDが盗まれて、誰かが自分になりすました。この1か月間に起こったことは、私と関係ない」と主張している。