司馬遼ファン必見!『坂の上の雲』の舞台・旅順の日露戦跡5選

司馬遼ファン必見!『坂の上の雲』の舞台・旅順の日露戦跡5選

更新日:2018/08/14 09:06

澁澤 りべかのプロフィール写真 澁澤 りべか 西洋史ブロガー
大連から南西へ約40キロ、遼東半島の南端に位置し中国海軍の重要な軍港を擁する旅順。ここはかつて外国人の訪問が禁じられていましたが、民主化や冷戦終結に伴い2010年に全面的に開放されました!
旅順には日露戦争ゆかりの場所が多く残っています。今回は、ドラマ化もされた司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』に登場する、二〇三高地、水師営など5つの見所を紹介。司馬遼ファンの皆さん、必訪ですよ〜!!

旅順を攻略せよ!「東鶏冠山」

旅順を攻略せよ!「東鶏冠山」

写真:澁澤 りべか

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旅順攻防戦といえば二〇三高地が有名ですが、東鶏冠山もまた4ヶ月に及ぶ激戦の舞台となりました。ここには帝政ロシア時代に築かれた大規模な堡塁(要塞)があり「東鶏冠山北堡塁」として公開されています。きれいに整備されているものの岩石とトーチカが入り組んでいてまるで迷路。一部のトーチカは中に入ることも出来、日本軍による爆破口なども残されていて、戦いの様子を生々しく伝えています。
写真は台所兼救護所だったところです。

1904年8月の第一回旅順総攻撃ではここで日本軍が全滅します。しかしその12月には日本軍の発射した榴弾砲が命中し、ロシアの司令官コンドラチェンコ少将が爆死。堡塁内には彼の慰霊碑があり、「旅順日露戦争陳列室」という資料館も併設されています。山頂には1926年に建てられた記念碑があってロシア軍の大砲を見ることができます。

激戦地に残る慰霊塔「二〇三高地」

激戦地に残る慰霊塔「二〇三高地」

写真:澁澤 りべか

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あまりにも有名な激戦地二〇三高地は現在、地元の中国人にとっては桜の名所。ハイキングスポットとしてにぎわっています。その名の通り標高203メートルの小山なので、坂道を15分も歩けば山頂に到着。山頂に立てば旅順の町と旅順港が・・・「見えます。まる見えであります」! 
だからこそ乃木希典大将率いる日本軍は、どうしてもここを奪取しなければなりませんでした。

現在山頂には戦争後に乃木が建てた、銃弾の形の慰霊碑があります。これは周辺に残された薬莢や大砲の残骸を集めて作られました。「爾霊山(にれいさん)」は乃木が自作の漢詩の中で使った言葉で、二〇三を「なんじ(爾)のれい(霊)の山」と読み替えたものです。
付近には日本がロシア艦隊に対する砲撃を指揮した観測所があり、ロシアのカノン砲、日本の榴弾砲などが残されています。また麓には第三回旅順総攻撃で亡くなった乃木の次男、保典の慰霊碑が立っています。

あの歴史的会見はここで!「水師営」

あの歴史的会見はここで!「水師営」

写真:澁澤 りべか

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水師営といえばご存知、乃木大将とステッセル中将の会見場所。しかし残念なことに、現在建っている会見所は当時の資料に基づいて1996年に忠実に再現したものです。
中央の入口を入って右が日本の控え室。いまは当時の写真が展示されています。左がロシアの控え室で、降伏文書への調印はここで行われました。ロシア側控え室には簡素な長テーブルとそれをはさんで長イスがあり、いずれも再現したものですが撮影禁止です。日本人が座る方のイスは、体格を考慮して座面が高くなっています。

会見所の外には、ステッセルが乃木に贈った白馬をつないだナツメの木がありますが、これもやはり有名なエピソードを再現すべく、のちに植えられたものです。

ロシア風のレトロな駅舎「旅順駅」

ロシア風のレトロな駅舎「旅順駅」

写真:澁澤 りべか

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かつての東清鉄道の終着駅である旅順駅の駅舎は1901年にロシアによって建てられ、現在も当時のままの姿をとどめています。緑の屋根が印象的なロシア風木造建築です。
児玉源太郎参謀長が、この汽車のスピードの遅さにいらつきながら旅順要塞に向かった場面を記憶している方も多いはず。ちなみに当時車窓から見えた日本兵たちの白い墓標はすでにありません。
現在、大連〜旅順間の運転は1日2往復のみで、車より時間がかかります・・・。

旅順口閉塞作戦の現場が見える!「白玉山」

旅順口閉塞作戦の現場が見える!「白玉山」

写真:澁澤 りべか

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二〇三高地よりもっと黄海に近いところに、かつてロシアの砲台がおかれた白玉山があります。山頂には、日露戦争後に東郷平八郎と乃木希典が建てた「白玉山塔」という約67メートルの慰霊塔が建っています。1909年に完成したときは表忠塔と呼ばれていました。

海を臨む場所に立つと、旅順口が感動的なほど間近に見おろせます。右から伸びる「老虎尾」と左の「黄金山」に挟まれた隙間(写真中央)。まさにそこが、日本海軍による旅順口閉塞作戦の現場です!その内側には、ロシア旅順艦隊が引きこもっていた湾が見えます。『坂の上の雲』ファンには絶対に見て欲しい光景です!!

最後に

ここで紹介した旅順の見所は、いずれも日本人の観光客がほとんどなので、日本語の案内板があります。お土産は日本人価格なので、頑張って値切ってください。
また外国人に開放されたとはいえ、旅順はいまも軍関係施設が多く、それらをうかつに写真に撮ると思わぬトラブルを招く可能性があります。そのため、旅順市内を観光するさいは事情に詳しい現地ガイドに同行してもらうことをおすすめします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/05/01 訪問

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