北京に再現された東洋のベニス!頤和園・蘇州街の魅力に迫る!

北京に再現された東洋のベニス!頤和園・蘇州街の魅力に迫る!

更新日:2018/08/14 09:11

渡部 洋一のプロフィール写真 渡部 洋一 フリーライター、カメラマン
アジア随一の世界遺産登録数を誇る中国。その首都北京に、「中国屈指」と称される名園「頤和園」はあります。昆明湖を中心とした風光明媚な景観や仏香閣等の色鮮やかな中国建築が有名な頤和園ですが、実は園内では中国江南地方の水の都「蘇州」を模したエリアも人気を集めています。清国皇帝が愛した「東洋のベニス」を北京に再現した、蘇州街の歴史と魅力をご紹介します。

世界遺産にも登録されている頤和園

世界遺産にも登録されている頤和園

写真:渡部 洋一

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4000年という歴史と世界有数の世界遺産登録数を誇る中国。その首都北京にある頤和園(いわえん)は万里の長城や故宮(紫禁城)と並び北京を代表する世界遺産であり、中国屈指の名園と謳われています。
東京ドーム約62個分、皇居と比較しても2倍以上という広大な敷地の約4分の3の面積を占める人口の湖「昆明湖(こんめいこ)」を中心とする景観は風光明媚。色彩豊かな中国建築の数々が色を添えます。
清朝第6代皇帝の乾隆帝(けんりゅうてい)が、母親の還暦を祝って造営したという歴史を持つ頤和園は、北京を代表する観光名所です。

写真は、昆明湖のほとり万寿山の中腹に聳える仏香閣(ぶっこうかく)。八角三層の美しい塔は、頤和園のシンボルとなっています。

再現された蘇州の街並み

再現された蘇州の街並み

写真:渡部 洋一

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頤和園のシンボル仏香閣の北側に、今回ご紹介する蘇州街はあります。

歌謡曲「蘇州夜曲」でも有名な蘇州は、上海の西、長江デルタにある交易の要衝であり、中国江南地方の有名観光地です。街中に運河が張り巡らされる水の都として、その街並みの美しさは「東洋のベニス」とも謳われています。

清朝第6代皇帝であり頤和園の造営者でもある乾隆帝は、蘇州が大好きでした。江南地方に6回も行幸し、その繁栄ぶりを大いに称えたと言われています。蘇州の美しい街並みに惚れ込んだ乾隆帝が、「ワシは蘇州が大好きじゃ。北京にも蘇州を造るんじゃ。」といって本当に造ってしまったのが、頤和園内にあるこの蘇州街。莫大な富と権力が実現した、皇帝の壮大な夢の結晶です。

趣のある店舗が建ち並ぶ

趣のある店舗が建ち並ぶ

写真:渡部 洋一

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清国皇帝のイケてる趣味から北京の頤和園内に造られた「ミニ蘇州」とも言える蘇州街。再現された街並みは東西約300メートル。60以上の商店が軒を連ね、雑貨屋、質屋、薬屋、骨董品屋、茶楼等が蘇州の華やかさを演出しています。

この商店街で乾隆帝は店員に扮した女官や宦官(かんがん)たちを相手に買い物を楽しんだと言われています。それはまさに皇帝ならではの壮大なスケールの「蘇州ごっこ」。皇帝自らが愛した風景を集めた理想郷が、ここにはありました。

運河と橋と船

運河と橋と船

写真:渡部 洋一

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「蘇州と言えば運河じゃ!」「蘇州と言えば橋じゃ!」「蘇州と言えば船じゃ!」ということで、頤和園の蘇州街にはその全てが再現されています。8本の橋が架かり、運河の上を小舟が行き交う蘇州街の風景は、本家さながらの水の都。まだ「どこでもドア」の無かった清の時代、北京にいながらにして江南地方の水郷地帯の風景を味わうことができる大変貴重な場所だったことは想像に難くありません。新幹線や飛行機が発達したものの「どこでもドア」はまだ無い21世紀の現代でも、この場所から遠く蘇州に想いを馳せる人々が多くいます。
ちなみに、この運河は昆明湖に繋がっており、「どこでもドア」を使わずとも船で行き来することができます。

お腹が空いたら、グルメを堪能

お腹が空いたら、グルメを堪能

写真:渡部 洋一

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蘇州街に建ち並ぶ60軒以上という店々。レトロな趣に包まれて、お茶や食事を楽しむことができます。
写真は、蘇州街の中で食べられる牛肉麺。辛口の赤いスープが食欲をそそる、中国の庶民の味です。観光地価格ではありますが、皇帝の夢が詰まった蘇州街でいただくその味は格別です。

丸一日いても楽しみ尽くせないほど広大な頤和園、休憩や食事をする機会があれば、蘇州街で一息つくのもおすすめです。

その他にも見所目白押しの頤和園

いかがでしたか?
中国屈指の名園と謳われ、世界遺産にも登録されている北京有数の観光名所頤和園。その中に皇帝が自らの愛した街の風景を再現した「蘇州街」の歴史と魅力をご紹介しました。
皇帝がその威信をかけて造営した頤和園には、蘇州街の他にも仏香閣をはじめ、14000枚もの歴史画等が描かれた乾隆帝の散歩道「長廊(ちょうろう)」や、清朝末期の西太后が愛した石の船「清晏舫(せいあんほう)」など、本当に見所が目白押しです。
清朝の皇帝乾隆帝が母親の長寿への想いを込めて造営し、自らの趣味で「東洋のベニス」蘇州の街まで再現してしまった頤和園は、北京を訪れるなら是非とも訪れたい必見の観光名所と言えます。

なお、頤和園の蘇州街以外の見所については、記事下部にある「MEMO」の「中国屈指の名園!北京の世界遺産「頤和園(いわえん)」を徹底ガイド!」で詳しくご紹介しています。また、頤和園へのアクセス、入場料や入場時間等の情報も、同じく「MEMO」よりご覧いただけます。

掲載内容は執筆時点のものです。 2012/09/14 訪問

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