浸透圧とは? わかりやすく解説

しんとう‐あつ【浸透圧】

読み方:しんとうあつ

半透膜を境にして溶液溶媒とが接触し浸透の現象が起こるときの両方圧力の差。溶液濃度が低い場合には、濃度絶対温度比例する


浸透圧 Osmotic pressure

半透膜通過しない溶質溶液が,異な濃度半透膜によって隔てられると,膜を介して相対的に低い濃度溶液から,相対的に高い濃度溶液向う水の流れ生じる。このように半透膜を介して起る水の流れ浸透とよび、その圧力を浸透圧という。浸透圧は溶媒から溶液向かって(または、薄い溶液から濃い溶液向かって作用するオイルベースマッド場合地層水和力に打ち勝つだけの浸透圧を持たせる事によって、地層中の粘土鉱物水和を完全に防ぐことが出来る。
浸透圧
分野 掘削流体
同義語
関連用語
類似語
略語
浸透圧

浸透圧

英訳・(英)同義/類義語:osmotic pressure, Osmolarity

半透膜を介して濃度の低い溶液から濃度の高い溶液流動する時、その流動止めるために必要な圧力
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化合物名や化合物に関係する事項:  水銀    氷酢酸  浸透圧  液体  液体空気  液体窒素

浸透圧(しんとうあつ) osmotic pressure

半透膜隔てて濃度差のある水溶液をおいた場合水分濃度の低い方から高い方へ移動する。この圧力を浸透圧という。浸透圧は濃度比例するウミガメでは、周囲海水の浸透圧が体内より高く水分体外に出る。それを補うために海水摂取するが、多量塩分体内に入る。その余分な塩分排出するため塩類腺がある。

浸透圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/11 06:52 UTC 版)

浸透圧(しんとうあつ)は、物理化学の用語である。半透膜を挟んで液面の高さが同じ、溶媒のみの純溶媒と溶液がある時、純溶媒から溶液へ溶媒が浸透するが、溶液側に圧を加えると浸透が阻止される。この圧を溶液の浸透圧という[1]。浸透圧は希薄溶液中において、物質の種類に依存しない法則が成立するという束一的性質の一種である。

概要

半透膜、すなわち溶媒(小さな分子)だけを透す膜で隔てられた2室に溶媒・溶質が同じで濃度の異なる2つの溶液があると、濃度の低い(溶質分子の密度が相対的に低い)溶液から濃度の高い(溶質分子の密度が相対的に高い)溶液に移動する溶媒分子の数は逆向きのものより多くなる。これは、低濃度溶液中の溶媒分子の方が、高濃度溶液中の溶媒分子よりも、溶媒自身の密度が高く、拡散の原理に従って、溶媒分子が[高]→[低]へと移動することによっている。結果として、溶媒は溶質濃度の高い溶液の方へ移動し、平衡状態に達するまで続く。

浸透圧 π [atm] は次の式で表される(ファントホッフ(van't Hoff)の式)。

赤血球にも影響する浸透圧

生物においては、細胞膜は半透膜である。

細胞内の溶液と比較して、浸透圧が高い溶液を高張液(: hypertonic)、低い溶液を低張液(: hypotonic)、等しい溶液を等張液(: isotonic)という。

細胞内の溶液と浸透圧が等しい食塩水生理食塩水と呼び、ヒトの場合は約 0.9w/v% である。また生理食塩水にカリウムなどを入れ人間の体液に近付けた液をリンゲル液と呼ぶ。

水道水などで目を洗う際にしみて痛くなるのは、この浸透圧の作用による。濃度が0の真水や水道水に比べて眼球の細胞内の溶液の浸透圧が高いため、外側の水分子が細胞内へ移動して細胞が膨張し、その時に痛みを伴う。そのため目薬などの点眼薬は、浸透圧を生理食塩水に合わせ、目にしみないように作られている。

赤血球を真水に入れると、内部へ浸透した水の圧力により赤血球が破壊される溶血が起こる。

自然界の生物においては、淡水は細胞内より浸透圧が低く、海水は浸透圧が高いので、それぞれに浸透圧調節が必要となる。シロザケのように海と河川を往復する水生物にはエラの付け根にある塩類細胞の増減で行い、河口付近で半月~1か月待機して適応する* 海と河川湖沼の行き来に必須の塩類細胞の働き。動物においては排出器の役割の一つである。

植物細胞には細胞壁があるため、陸上植物の細胞を高張液に入れた場合には原形質分離が起こり、真水に入れた場合には一部の細胞を除き膨らむだけで破裂することはない。細胞膜が細胞壁を内部から圧する力を膨圧と言い、細胞壁の薄い植物体を支えたり、気孔の開閉、オジギソウ食虫植物の運動の原動力となっている。

極端に糖分塩分が高い食品が腐敗しにくいのも浸透圧によるものである。細菌が取り付いて繁殖しようとしても、自身の細胞から水分が吸い出され、死滅してしまったり非常に遅い速度でしか繁殖できないためである。

ヒトの体液の浸透圧調整

ヒトの体液の浸透圧調整は、腎臓による浸透圧調整で行われ、主に腎臓でのナトリウムイオンの再吸収によって行われる。この再吸収はホルモンによって調整されている。浸透圧が上昇した時、水の再吸収が行われる。血液の浸透圧が上昇すると、脳下垂体後葉バソプレッシン(抵利尿ホルモン)を分泌し、腎細管集合管での水の再吸収を促進する。この結果、尿量は減少し、血液中の水分が増加するため、浸透圧は低下する。また、浸透圧が低下した時、無機塩類の再吸収が行われる。血液中の浸透圧が低下すると、副腎皮質鉱質コルチコイドを分泌し、腎細管でのNa+の再吸収を促進する。この結果、血液中の無機塩類が増加し、浸透圧が上昇する。

その他

浸透圧は溶液のもつ属性であり、語の使用に際して注意する必要がある。例えば「細胞内部の溶液の浸透圧」という用法は妥当だが、「細胞の浸透圧」という記述は意味するところが不明瞭であり誤解を招くおそれがある。「半透膜の両側に濃度の違う溶液があると、浸透圧が発生し…」という表現も誤用である。この場合は、「浸透圧差が生じ、」とすべきである。

出典

  1. ^ 岩波理化学辞典・同生物学辞典等
  2. ^ 磯直道,上松敬禧,真下清,和井内徹 『基礎物理化学』 東京教学社,1997年

関連項目

外部リンク


浸透圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 04:55 UTC 版)

温泉」の記事における「浸透圧」の解説

鉱泉分析法指針では浸透圧に基づき温泉1kg中の溶存物質総量ないし凝固点氷点)によって 低張性・等張性・高張性 という分類行っている。

※この「浸透圧」の解説は、「温泉」の解説の一部です。
「浸透圧」を含む「温泉」の記事については、「温泉」の概要を参照ください。

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浸透圧

出典:『Wiktionary』 (2021/09/22 10:56 UTC 版)

名詞

しんとうあつ

  1. 溶媒のみを通し溶質通さない半透膜両側に、異な濃度溶液があるとき、溶媒が高い濃度方に移動するようにかかる圧力

翻訳

関連語


「浸透圧」の例文・使い方・用例・文例

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