こん‐どう【混同】
混同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 16:00 UTC 版)
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混同(こんどう)とは、物権及び債権共通の消滅原因で、物権あるいは債権債務が同一人に帰属した場合に、併存させておく必要のない所有権以外の物権あるいは債権が消滅することをいう。日本の民法では物権法上の混同については179条、債権上の混同については520条で定められているが、これらは同旨の規定である[1]。
物権法上の混同
物権法上の混同とは、同一物について所有権と他の物権(制限物権)が同一人に帰属した事実(民法179条1項)、または、所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同一人に帰属した事実(民法179条2項)をいう。
所有権と他物権の混同
- 原則
- 例外
所有権以外の物権と他権利の混同
- 原則
- 例外
占有権の適用除外
占有権は混同によって消滅しない(民法179条3項)。占有権は物の占有という事実状態そのものを法的に保護する権利であり、本権と併存しうるもので相互に連繋をもたないためである[3][4]。
債権法上の混同
原則
債権法上の混同とは、債権及び債務が同一人に帰属することをいい、この場合、当該債権・債務は消滅する(民法520条本文)。自らに対して有する債権を存続させても無意味であるという理由による[5][6]。
債務者が債権者を相続した場合[7][6]、債権者たる会社が債務者たる会社を合併した場合[5][6]、賃借人が目的物の所有権を買い戻した場合(大判昭和5・6・12民集9巻532頁)[5][6]、債務者が自らに対する債権を譲り受けた場合[6]などである。
なお、混同は連帯債務及び連帯保証において絶対的効力事由の一つである(440条(旧438条)、458条)。2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で旧438条は条数変更により440条となった[8]。
- 連帯債務
- 連帯債務の場合、連帯債務者A・B・CのうちのAが債権者Dを相続したとき(又は債権を譲り受けたとき)には、混同によりAは弁済したものとみなされ、これによってBとCも債務を免れるとともにBとCはそれぞれの負担部分についてAから求償を受けることとなる[9]。民法438条は法律関係を簡易に決済する趣旨の規定であるが、BとCの連帯関係まで全面的に消滅させてしまうため債権の効力や担保力を弱める結果となっており債権者に不利益を生じることがある[9]。
- 2017年改正の民法(2020年4月1日法律施行)で旧438条は条数変更により440条となった(不法行為責任が競合する場合に混同を相対効にしたほうが責任保険との関係で被害者保護に資するという意見があったが絶対効が維持され条数変更のみとなった)[8]。
- 連帯保証
例外
- 債権が第三者の権利の目的であるとき
- 自らに対して有する債権を存続させることに意味がある場合には混同の例外が認められる[5]。つまり、債権が第三者の権利の目的であるとき(当該債権が第三者の質権の目的となっている場合、または当該債権が第三者に差押えされている場合など)は、例外として債権は存続する(民法520条但書)。
- 相続の限定承認は混同の例外を明文で規定している例である(民法925条)[6]。また、組合員の1人が第三者から組合に対する債務を譲り受けても混同により消滅しない(大判昭11・2・25民集15巻281頁)[6]。
- なお、家屋の賃借人が賃貸人からその家屋を贈与された場合には賃借権は混同により消滅するのであるが[6]、判例は、その所有権移転登記が完了されないまま後の譲受人が所有権移転登記を受けた場合には譲受人に対する関係では消滅した賃借権が復活すると判断したものがある(最判昭40・12・21民集19巻9号2221頁)[6]。
- 証券的債権
脚注
- ^ 内田貴著 『民法Ⅲ 第3版 債権総論・担保物権』 東京大学出版会、2005年9月、108頁
- ^ 鈴木禄彌『物権法講義 5訂版』創文社、2007年、112頁。
- ^ 近江幸治著 『民法講義Ⅱ 物権 第3版』 成文堂、2006年5月、173頁
- ^ 遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法2 物権 第4版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1996年12月、122頁
- ^ a b c d 我妻榮、有泉亨、清水誠、田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権 第3版』日本評論社、2013年、954頁。
- ^ a b c d e f g h i j k 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、238頁
- ^ a b 我妻榮、有泉亨、清水誠、田山輝明『我妻・有泉コンメンタール民法 総則・物権・債権 第3版』日本評論社、2013年、953頁。
- ^ a b c d 荒井俊行. “民法(債権関係)改正案に関するノート(IV)多数当事者関係(連帯債務を中心に) (PDF)”. 土地総合研究 2015年夏号. 2020年3月20日閲覧。
- ^ a b 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、112頁
- ^ 遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、128頁
- ^ 遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一著 『民法4 債権総論 第4版増補版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、1999年3月、323頁
外部リンク
混同
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/08/28 19:47 UTC 版)
「認可 (セキュリティ)」の記事における「混同」の解説
認可という用語は、間違ってポリシー施行段階の機能として使われることが多い。この混同はシスコシステムズのAAAサーバの導入に遡る。例えば RFC 2904 や Cisco AAA で混同されている。認可 (authorization) の正しい基本的意味は、これらの用法と互換ではない。例えば、セキュリティサービスの基本的な機密性、完全性 (integrity)、可用性は、認可を使って定義される。「機密性」は国際標準化機構 (ISO) の定義によれば「その情報に対してアクセスを認可された者のみがアクセス可能であることを保証すること」であり、明らかにここでの「認可」はポリシー定義段階の機能である。この機密性の定義を「その情報に対してアクセスを要求されたとき、許可された者にのみアクセス可能であることを保証すること」と解釈するのは不合理で、例えば許可されていない者がパスワードを盗んでアクセスした場合、「認可された」ことになってしまう。ログオン画面で「認可されたユーザーのみがこのシステムにアクセスできる」というような警告を表示することがよくある(例えば、こちら)。認可という用語を間違った意味で使っていると、この警告に対して盗んだパスワードを持つ攻撃者が「認可されているからログオンできたのだ」と主張することを許すことになり、警告を無効にすることになる。 認可という言葉を両方の意味(ポリシー定義段階とポリシー施行段階)で同じ文書内で使っている例もよくある(例えば、こちら)。 認可の概念を正しく使っている例としては、Karp (2006)や Jøsang et al. (2006)がある。
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混同
「混同」の例文・使い方・用例・文例
- 自由と放縦との混同
- 名前の混同
- 彼女と彼女の妹を混同したようですね
- 無形資産と架空資産は混同されることがある。
- 彼はよくわたしを妹と混同します。
- あなたはそれとこれを混同しないでください。
- それを少し混同していました。
- それを少し混同して考えていました。
- 私はそれを違う製品と混同する。
- それらは読者に混同を与える記述だった。
- それらは読者を混同させる記述だった。
- それらは読者を混同させる内容だった。
- あなたはそれをこの事実と混同されていませんか?
- 欲望を愛と混同するな。
- 名前の混同が少しあった。
- 彼女はときに空想と現実を混同することがある。
- 彼女はいつも塩と砂糖を混同している。
- 彼らは差出人と受取人の名前を混同した。
- 同情と愛情を決して混同しないように。
- 私は時々CurveとCarveを混同してしまう。
混同と同じ種類の言葉
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