真紅家
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ヘンリー・マーカー 声 - 松本大 / 石井康嗣 果林の父親。長身に先の尖った口髭、という一見威厳ある風貌の持ち主だが、実は素直でナイーブかつセンシティブな平和主義者。普段は妻・カレラの尻に敷かれているが、果林のことになると性格が急変する。血の嗜好は「プライド」。 かなりの子煩悩で心配性(どちらも主に果林方面に発揮されている)。果林と健太の仲が進展してしまう事が悩みの種だが、健太の事も気遣っている。カレラを心底愛しており、彼女が侮辱されると怒る。 果林の救出作戦の時は、大木を何本も引き抜いては、槍のようにグラーク達に投げつけるという怪力を発揮。娘を守る父として奮闘するが、エルダに助けられた後に(戦いの恐怖と母が来た事による緊張からの解放で)大泣きしてしまう。 カレラ・マーカー 声 - 篠原恵美 / (同左) 果林の母親。凶暴で嫉妬深い性格だが、仁義に厚い姉御肌。血の嗜好は「嘘つき」で、辛みばしった味が好み。 スリッパによる打撃は真紅家最強の武器。ヘンリーとは見合い結婚。旧姓はアルマーシュだが、義父のジェイムスによってその事は固く秘匿された上に顔立ちが父親似であった事も手伝い、エルダは長年セシリアの娘だと気づかなかった。実は熟年好みで、昔はジェイムスのことが好きだった。ヘンリーに会ってからは彼に「もっと老けろ」と焚きつけ、血液の摂取を制限させたりもした。そのため義母のエルダとは犬猿の仲で、彼女の棺桶に重石を置いて干乾びさせようとした事がある。子供を3人も産んだため他の吸血鬼達からは羨望の的になっており、集会の時は子供が産まれなくて悩んでいる若奥様達に取り囲まれていた。 真紅 煉(まあか れん) 声 - 諏訪部順一 / 高橋広樹 果林の兄。1982年11月1日生まれの21歳。身長182cm。体重69kg。 杏樹の事は甘やかしているような素振りを何度か見せるが、落ちこぼれの果林の事はバカにしており、特に両のこめかみを拳でぐりぐりと痛めつけたりとイジメる描写が多い。しかし、文句を言いつつ世話を焼く事もある。血の嗜好は「ストレス」だが、女性からしか吸血しない(健太の母・文緒を狙った事もあった)。 基本的に女好きで(ジェイムス譲りらしい)、趣味はナンパ。強いストレスを抱えている女性を殊更魅力的に感じるらしく、また基本的に彼の場合吸血行為はそのまま相手との性交渉に直結する。ただし、吸血後は相手への興味が無くなってしまうので、すぐに乗り換えたりと貞操観念はかなり薄い。このため彼女は常時複数おり、中にはストーカーとなった女性も存在。特にストーカーに対しては姿を見せずにいることでストレスを溜めさせ、それが臨界間際となったところで吸血行為にいたるという「ストレスの養殖」ともいえる行動をとっており、本人はこれを「ストレスのキャッチアンドリリース」などと嘯いて家族を呆れさせた。ただ、そのためには養殖先との定期的な交際を長期間続けることが必須となるため、基本的に自らの吸血行動およびそれに直接かかわる事柄以外の記憶は消すことができずにいる。ひねた言動とは裏腹に実は犬好きと思われる部分もあり、マーカー邸を匂いで突き止めた麻紀の愛犬リクの記憶をいじる際に無言で撫で回し続けたその様子から、家族を戦慄させていた。 男は触れる事すら嫌がり、特に健太の事を快く思っていない(健太から「ストレス」を感じ取ってしまう事も毛嫌いする理由の1つ)。ぶっきらぼうで無愛想な性格で、怒るとかなり怖い。小さい頃に死ぬほど可愛がられた事がトラウマで祖母のエルダの事を苦手としており、現在の歪んだ性格は、そのトラウマが原因である模様。果林に対する邪険な扱いも、彼女が記憶の中のエルダと瓜二つであるということが少なからず関係している。漫画版の番外編『煉の卒業と日向の名残り』では中学の時、クラスメイトの少女である藤谷日向とお互い惹かれあっていたようだったが、吸血に目覚めた事で別れを余儀なくされた。その頃の記憶は現在でも微かに尾を引いているらしい。 邪険にしているが果林の事は彼なりに大切に思っており、果林救出作戦の時に果林に暴力を振るったブリジットに本気でキレて、彼女を太陽で灰にしようとした。そのままブリジットと関係を持ってヘンリー達を唖然とさせたが、最終回にて長年の火遊びのツケが回ってきたか、ブリジットとのできちゃった結婚の危機に陥っている。10代で「おばさん」になってしまう事について果林と杏樹はショックを受けていた。また、ブリジットがカレラの従姉妹である事には気付いていないようである。 後に描かれた番外編では息子の認知すらも拒否して逃げ回り、結局のところ正式な結婚には至らなかった事が判明している。一方で、その息子(玲)がブリジットの教育の影響で人間に不必要に怯えるようになっているのを知った時には「どういう教育をしてきたんだ!」と彼女に激怒した(ブリジットからは「あんたが認知もせずに逃げ回ってたからでしょ?」と返されている)。また、この事もあり雨水家が幽ヶ谷へ帰省した際には煉が妹一家を見守っている。それを知った健太には感謝を込めて「お義兄さん」と呼ばれたが、彼とは前述の通り色々あったため「やめろ」と返している。 前述の通り、最終回で果林の家族に関する記憶を消しているが、ここでこれまでの果林に対する扱いは全て、この記憶消去のための「仕込み」であった事が明かされた。これは日中ともに過ごすことのできない家族と居ても彼女が幸せにはなれないだろうというマーカー家一同(果林を除く)の総意に基づくものであり、さらに果林が人間と事実上変わらなくなったことで、彼女を健太に託して人間社会に送りだすという決断がされた上での行為だった。実際には誰よりもできの悪い妹を強く愛する兄であり、その妹の幸せを思えばこそ、いつかは妹と離れる日が来ることを自ら理解し、ただそのために下手な未練や情けが残らぬよう、妹に冷たく接していただけのことだった。 アニメ版では過去に全寮制の男子校に入れられ、ルームメイトの男子である藤谷誠を女と間違えて好意をもってしまった事に絶望。開き直り、その場にいた数人の男の血を吸い覚醒した。 真紅 杏樹(まあか あんじゅ) 声 - 猪口有佳 / 下屋則子 果林の妹。1992年6月6日生まれの小学5年生。身長146cm。体重38kg。 無口で大人しい美少女。黒を基調としたいわゆるゴスロリ系の服を着ており、出歩くときは日傘を常用する。多少毒舌家だが非常に姉思いな性格であり、果林の敵を無条件で嫌う。果林の素性を知っても変わらずに接する健太に、ある種の興味を持っている。幼いながらもコウモリを操る能力は家族から「天才」と言われるほどのもので、果林の為に情報収集や記憶操作を行っている。趣味は人形集めだが、ブギーくんを初め、どれも何らかのいわく付き。普段こそ歳に似合わず無口だが、人形の事となると饒舌になる。太陽に当たると体調がすぐれなくなるため学校は欠席しがちで、成績は見た目に反してかなり悪い。 同級生に対してはクールな振るまいを続け、自分に想いを寄せてくる鯉淵や瀬良に対してもそれは同様であった。覚醒が近いことを自覚すると家族にそのことを隠そうとしたり、無理をして多少晴れている日でも登校したり、覚醒を遅らせようと必死になるなど、姉と共有できる時間を失うことを内心ではとても寂しく思っていた様子が伺える。12歳という吸血鬼としても早すぎるらしい年齢で「淋しさ」を好む吸血鬼として目覚めた。この際果林が善意のつもりで「おめでとう」と彼女にとっては無神経極まる言葉を言ってしまったことに対しショックを受け泣いていた。 なお、小説版1巻での杏樹は少し口調が違う。 物静かな性格とは裏腹に無茶な行動が多く、小説版8巻から9巻では健太に果林を任せても大丈夫かどうかを確かめる為に、ノエルと「危険な賭け」をしていた(負けた場合、ノエルに貞操を奪われた可能性がある)。 じつは原作最終話の後も、姉の一家・一族をずっと見守り続けており、何らかの脅威が迫った際には即座に駆けつけて雨水家に気付かれる前にそれを排除し続けている。しかし、その出来事を扱った番外編などでは、姉を慕う思いが悪化し、どこかシスコンめいた言動が増えている。特に果林が歌音を懐妊した事を知った際には、人知れず健太に対して「あの野郎」と激怒している。 アニメ版では第20話で覚醒。血の嗜好は「嫉妬」。エルダのことは初登場時に果林の胸を強く揉んだことに怒り、嫌っている。姉・果林に対しては百合的な描写もされていた。 ブギーくん 声 - 野島裕史 / 宮本克哉 杏樹がいつも抱いている人形。中には包丁で13人殺した連続殺人鬼の霊が入っている。他人(特に果林)によく攻撃的なツッコミをする。しかし杏樹には逆らえない。杏樹の手を離れると、人形から抜け出して動くこともある。生前は通称「ボーダーシャツの赤い切り裂き魔」と呼ばれていたらしい。 アニメ版では杏樹の覚醒とともに死亡(魂の消滅)。 ジョアンナ 杏樹の人形コレクションの一つ。「〜ですわ」等の口調で話す。 お茶目な性格で、文化祭のお化け屋敷で人を怖がらせては楽しんでいた。果林の事は「お姉様」と呼んでいるが、ブギーのように口汚くはないものの、果林の事を貶している。 名称などのモデルとなったのは影崎の知人で、当時、ゲームメーカー「アアル」の社員だった和南城ジョアンナであり、影崎の同人誌や単行本等のあとがきに登場する本人像そのままである。 エルダ・マーカー 声 - 白鳥由里 果林の祖母(ヘンリーの実母)。胸が小さい点以外は果林に瓜二つ(他に違う点は髪の色ともみ上げの髪の長さ)。原作では血の嗜好は不明だが中年男性から吸血し、健太を見て「食指が動かない」と言っていた。 200年前、人間に追われて最初に日本へ渡ってきたのは彼女らの世代で、特に直系のマーカー家の一族で日本に渡ってきたのは彼女一人だけだった。そのため文書に残っていないような大陸から伝わるヴァンパイアの知識を持っていると目された(実際は大陸を離れた頃は、彼女はまだ幼かったのでそれほど知識を持っていたわけではない。実際に知識があったのは、エルダの夫であるジェイムスの方だった)。かつての吸血鬼狩りの時代、他の者が自分以外のマーカー家の吸血鬼を見捨て、自分だけを連れて強引に脱出してしまったために、自分の身内以外の全てを嫌い、同じヴァンパイアでもまったく信用していない。その様は「手の付けられない凶暴な鷹」だとグラークに評されるほどで、「同世代(ひいては日本に在するすべての吸血鬼の中でも)最強」とも称される。特に彼女と同世代およびそこから少し下(ヘンリーやエルスマンたちの世代)からは、ほぼ伝説レベルで恐れられる。杏樹の才能は彼女譲りでコウモリを操る力も杏樹より強い。特にエルダの場合は他者の支配下にあるコウモリたちのコントロールをも完全に奪ってしまうほど強い意志力を持つ。吸血鬼にも寿命が存在する設定で、吸血頻度が老化に影響するようであるが、16年無補給で身体が萎びた後の吸血で、孫である果林と見間違えるような若々しい肉体に戻る。大陸から渡ってきた世代の他のヴァンパイアが寿命で亡くなる状況下で、並外れた生命力を有している事を示した。 ゆえに保守的で傍若無人かつ、極度の人間嫌い。特に現代の常識が通用せず、人間を殺すことも厭わない。ただし、気紛れで飽きっぽいために、これと決意した行動以外は完遂することは少ない。日本に渡航後、ジェイムスの半ば強引なアプローチを受け続け結婚するが、孤独だった自分に家族を再び与えてくれた彼のことを深く愛するようになった。家族は溺愛しているが、嫁のカレラとは犬猿の仲。ただし、ある種の愛情の裏返しとも取れる態度をとる。自分と瓜二つで、最も血の繋がりが濃く見えることから果林を可愛がっているが、嫁譲りの巨乳の部分は嫌っている。ジェイムス似の顔立ちである煉のこともお気に入り。幼き頃に吸血鬼狩りで多くの一族を、現代になって目覚めてからは眠りすぎの過失から夫を失っている為、これ以上身内を失う事を誰よりも恐れ、家族を守るためには何者を敵に回すこともまったく厭わない。保守的な異端嫌いのため、果林の増血を知られると途端に果林を嫌いだして一家から排斥しだすのではないかとヘンリーに危惧されたが、逆にわが息子にそんな疑惑を抱かれていたことにショックを受け、即座にヘンリーを叱り飛ばして疑惑を否定した。それだけ、こと「家族」に対してはどんな形であっても愛情深い「おばあちゃん」である。 果林救出作戦の時は最終局面で現れてブラウンリックのコウモリたち全てのコントロールを奪い去り、太陽に焼かれる直前のヘンリーを助け、ブリジットのコウモリたちに引き裂かれそうになった果林と健太を解放した。さらに日が落ちると共にブラウンリック家に殴り込んで果林の誘拐に関わった関係者全員を完膚無きまでに叩きのめした。しかし、ブリジットの騒動が勃発すると面倒が起こる前にさっさと逃げ出している。 アニメでは果林をかわいがる理由として「人間と恋に落ちるという境遇まで同じ」という過去が追加されている。また、カレラの「スリッパ」に対し常時持ち歩いている「傘」で対抗する、という設定も追加されている(原作では「傘」は杏樹のシンボル)。なお、胸に関しては「まな板」とウィナーに言われて怒ったことから、自分の小さい胸がコンプレックスになっている可能性がある。アニメにおける血の嗜好は「恋心」で、その為に人間との恋に悲劇的な結末を迎えていた。そのため健太と果林の恋を知ると、果林に自分と同じ思いをさせまいと健太から恋心を奪おうとした。それに失敗すると、果林を吸血鬼にする為の情報を調べる為に外国へと渡る。ウィナーの祖父・ヴィクターとは因縁がある。また、アニメ版17話で高校生と思われるカップルが告白して付き合うという場面に現れそのカップルを「つまみ食い」した。以前から周り(時任麻希等)にも仲の良いことが知られていたカップルであった為、このことが原因で文化祭にエルダが来ていることに果林が気付いた。 実は両親は健在で、エルダが日本に脱出した後に弟が産まれてマーカー家を継いでいるのだが、エルダはその事実を知らず、逆に両親からは死んだと思われている。 ジェイムス・マーカー 煉とよく似た容貌の、果林の祖父(ヘンリーの実父)。紳士的な性格で吸血鬼には珍しい親人間派。マーカー家の姓を日本風に「真紅」と読み替えて孫たちに名乗らせたのもこの人。初登場時には既に死亡しており、この事が後に事態をさらにややこしくさせた。 血の嗜好が「若さ」のため、自分が人間から若さを吸い取ってしまう事を気にして、あまり吸血したがらなかったようである。それ故に、エルダが代わりに血を集めていたが、生きる気力に乏しくなっていたようでエルダが眠りについている間いつのまにか干涸びて死んでいた。 マーカー家への婿養子であり、旧姓はエドウズ。プシュケーを祀りし2家のうち、プシュケーの境遇に憤りを感じて立ち上がるも、ヴァンパイアの血族の裏切り者として誅されてしまった一族の末裔。以来、プシュケーの運命よりの解放はエドウズ一族の悲願となっており、そのため自家に「アルマーシュ」の血族を取り入れる(=いずれ生まれるプシュケーをブラウンリックの支配から遠ざけ、自らの目の届くところに置き守護する)事を望み、結果としてセシリアを騙し彼女の娘のカレラをマーカー家へ嫁がせる事に成功した。 死後に幽霊となってマーカー家の屋敷内をうろついていた所を杏樹に捕まって熊の縫いぐるみに封じられ、以後は杏樹の耳となってヘンリーやカレラの果林についての内緒話を杏樹に伝えていた。最終回で縫いぐるみの姿のままエルダと再会したが、エルダがジェイムスと認識していたかどうかは不明。 エルガ・マーカー 番外編に登場した女吸血鬼で、エルダの姪(弟の娘)、すなわちヘンリーの従兄妹に当たる。エルダと同じく保守的な吸血鬼で教会に強い憎悪を持っていたが、甥のフリードリヒが教会のシスターと恋仲になった事を契機に考えを改めるようになる。 フリードリヒ・マーカー 番外編に登場した吸血鬼で、かりん達の又従兄妹。母親はエルガの姉だが、彼を産んだ直後に死亡している。吸血鬼狩りを生業としていた教会を監視していたが、その教会に捨て子であったロザリーを置いてきた事で吸血鬼と人間の間の蟠りを自ら捨てる。日本の漫画に傾倒しており、ロザリーも彼に感化されている。
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