銀河団
銀河が数百から数千個集まり「銀河団」を形成する
太陽系の属する銀河系は「天の川銀河系」と呼ばれます。その外側に目を向けると、「アンドロメダ銀河」や「マゼラン銀河」といったさまざまな銀河(島宇宙)が存在しています。宇宙全体には、このような銀河がさまざまな形で1,000億個以上あることがわかっています。個々の銀河が数百個から数千個集まって「銀河団」を形成しているのです。
数万個の銀河をふくむ巨大な「超銀河団」
私たちの銀河系は、直径約500万光年の中に大小30個以上の銀河が集まっている局所銀河群にふくまれています。この中にはアンドロメダ銀河や大小マゼラン雲などもふくまれています。数千個の銀河をふくむ集団を銀河団といいますが、もっとも近い銀河団は約6,000万光年離れたおとめ座銀河団で、直径は約1,200万光年もあります。このような銀河群、銀河団は多数発見されていて、さらに巨大な超銀河団を構成しています。超銀河団は数万個の銀河をふくみ、直径が数億光年にも達します。
幅2億光年もある壮大な「グレートウォール」
かつて、無数の銀河は、宇宙という広がりの中に一様に(均等に)分布していると考えられていましたが、1981年になって、銀河がまったく観測されない領域が見つかったのです。その大きさは約1億光年以上にわたる巨大な空間で、ボイド(空洞)と呼ばれます。その後のさらに綿密な研究により、宇宙空間ではこのボイドが「泡」のようにいくつも連なり、この泡の表面に銀河団が分布していることが明らかになりました。さらに1989年には、ボイドにそって分布する銀河が壁のように連なっている構造が発見されました。泡の連なりが5億光年、幅が2億光年という壮大なもので、「グレートウォール」(中国の「万里の長城」の英語名)と名づけられました。
NGC205
名称:NGC205/銀河団
小分類:楕円銀河
属する銀河群:局部銀河群
属する星座:アンドロメダ座
アンドロメダ座にある渦巻銀河、M31(NGC224)は、4個の小さい伴銀河を持っています。そのなかの最大の伴銀河が、NGC205という楕円銀河です。かつては、メシエ番号が与えられていませんでしたが、メシエがNGC205を観測していたことは明らかで、最近ではメシエカタログに加えられ、M110と呼ばれています。NGC205には、通常の楕円銀河と異なり、若い種族の星が存在します。
1.見つけ方のポイントは?
アンドロメダ大星雲M31を望遠鏡で見ると、4個の伴銀河のうち、2つの伴銀河を観測することができます。すぐ南の方に接している丸い形の銀河がM32(NGC221)です。そして、すこし離れて北西の方向に見える、いくぶん細長い楕円銀河がNGC205です。
2.どのような特徴があるの?
5m反射望遠鏡で、数百万個の星に分解されました。NGC205の青い色は、若い星が存在することを示しています。この青い色は中央に近づくにつれて濃くなります。そして、60個ほどの超巨星に望遠鏡で分解されました。これは、大きな星間塵帯がいくつも若い星と同じ領域に存在していて銀河は中性水素をふくんでいます。
※参考文献:藤井旭「藤井旭の星雲・星団ガイド」誠文堂新光社、ジャン・オドゥーズギー・イスラエル・監修/堀源一郎磯部しゅう三・日本語版監修「宇宙天文大事典」旺文社、国立天文台・編「理科年表平成9年」丸善、小尾信彌「銀河の科学」日本放送出版会
銀河団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/09/18 01:42 UTC 版)
銀河団[1](ぎんがだん、英: cluster of galaxies[1]、英: galaxy cluster)は、多数の銀河が互いの重力の影響によって集団となったもの[2]。銀河の数は数百から1万におよぶ[3]。規模の小さいものは銀河群と呼称される[2]。
銀河団の特徴
銀河団は通常、以下のような特徴を持つ。
- 数百個から数千個規模の銀河からなり、これに付随するX線を放射する高温ガス、質量の大半を占める暗黒物質(ダークマター)から構成される。
- 銀河団の全質量は1014~1015太陽質量である。
- 銀河団の典型的な直径は約4-6Mpcである。
- 銀河団内の個々の銀河の速度分散は約800~1000km/sである。
- 銀河団同士の平均距離はおよそ10Mpcである。
- 銀河団内を構成する銀河、高温ガス、ダークマターのそれぞれの質量分布はどれもほぼ同じであると考えられてきたが、近年、構造形成過程にある銀河団(衝突銀河団)ではそれとは大きく異なる分布を示すものが発見されている。
スケールの違いによる銀河団の分類
銀河群
銀河団のなかでも、より小さな領域に数十個程度の規模で集まるものを銀河群、またはよりわかりやすくコンパクト銀河群と呼ぶことがある。Paul Hickson は1982年にこのような銀河群をヒクソン・コンパクト銀河群という銀河カタログにまとめている。太陽系を含む銀河系(天の川銀河)が属している銀河群は局所銀河群と呼ばれ、最大規模のアンドロメダ銀河を始め40個以上の銀河が含まれている。
典型的な銀河群に含まれる銀河はせいぜい50個程度で、銀河群の直径は約2Mpc程度である。銀河群の質量はおよそ1013太陽質量である。銀河団内の銀河は互いに重力で拘束されており、銀河団のサイズと各銀河の固有運動速度から、今後10億年単位で衝突・合体して巨大銀河に集約すると考えられている。
超銀河団
銀河群や銀河団やいくつかの孤立した銀河は超銀河団と呼ばれるより大きな構造を形作っている。1978年に初めて発見され、かみのけ座超銀河団と名付けられた。局所銀河群はおとめ座超銀河団に含まれる。
超銀河団Complex
銀河団や超銀河団の距離分布の観測(銀河サーベイや赤方偏移サーベイ)から、これらがさらに大きな空間スケールで集まっている構造が知られるようになった。観測によれば、分布は物質はフィラメント状に、大きな空洞の周りを取り囲む壁のような構造を作って集まっている。このような宇宙の大規模構造を探る方法は、ガンマ線バーストやクエーサーの分布など銀河団以外に対しても行われ、さらに大きな構造[4]も発見されている。
理論
可視光で観測すると、銀河団は多数の銀河が互いの重力によって銀河が引き合って形成された集団のように見える[2]。しかし、銀河団内の銀河の運動速度は、可視光で見えている銀河同士の重力で束縛されているとするには速すぎる。このことから、銀河団には光では観測できない別の質量成分が存在することが示唆される。
X線での観測によって、銀河団には高温の銀河団ガスがあり、X線源は約108Kという非常に高温のガスの熱制動放射によるものであることが明らかになっており、ガスの総質量も目に見える物質の大半を占める膨大な量である。しかし、静水圧平衡にあると仮定して求めた銀河団と銀河団ガスの総質量を考慮に入れても、これらを銀河団の中に束縛するのには十分ではなく、実際の総質量はずっと大きい。この見えない正体不明の質量成分は暗黒物質(ダークマター)と仮定されている。典型的な銀河団では、銀河として存在するのはおそらく全質量の数%程度、X線を放射する高温ガスが約20%に過ぎず、残りはダークマターが占めていると考えられている。
これまでの観測から、地球から少なくとも 80 億光年かなたにまで宇宙の大規模構造がつながっていることが確認され、また宇宙誕生からわずか 10 億年後に既に形成されつつある原始銀河団が見つかっている。 銀河は宇宙初期の小さな密度揺らぎが重力によって成長して形成されたと考えられている。銀河が群れ集まった銀河団や超銀河団などの大規模構造も、長い宇宙の歴史の中で重力がつくりあげた物質分布のパターンだと考えられる。[2][5]。
主な銀河団
ギャラリー
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くじら座の銀河団「Abell 370」
脚注
- ^ a b 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、114頁頁。ISBN 4-254-15017-2。
- ^ a b c d 銀河群・銀河団 宇宙情報センター JAXA
- ^ 国立天文台ハワイ観測所 田中壱 (2011年6月). “銀河団とはなにか”. 理科年表オフィシャルサイト. 国立天文台. 2023年1月25日閲覧。
- ^ ヘルクレス座・かんむり座グレートウォールなど。
- ^ 宇宙の大規模構造、超銀河団、超空洞、壁 理科年表オフィシャルサイト
関連項目
銀河団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 23:53 UTC 版)
銀河団名前の由来備考弾丸銀河団 2つの銀河団が弾丸のように衝突、融合していることから命名 1E 0657-56という符号も持つ。 El Gordo 2011年時点で、遠い宇宙で発見された銀河団の中では最大の大きさを持っていたため、スペイン語で「大きな1つ」を意味する言葉から命名 ACT-CL J0102-4915という符号も持つ。 Musket Ball Cluster 弾丸銀河団と比較して、この銀河団はより古く、動きが遅いことから名付けられた。 DLSCL J0916.2+2951という符号も持つ。 パンドラ銀河団 銀河団同士の衝突によって、様々な奇妙な現象が現れたことから名付けられた。 Abell 2744という符号も持つ。 フェニックス銀河団 ほうおう座から命名された。 SPT-CLJ2344-4243という符号も持つ。
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