エヌ‐ティー‐エス‐シー【NTSC】
NTSC 【National Television System Commitee】
エヌティーエスシー (NTSC)
NTSC [National Television System Committee standard]
NTSC
読み方:エヌティーエスシー
NTSCとは、米国の地上波アナログカラーテレビ放送の規格を策定した委員会の名称、あるいは同団体によって策定された規格のことである。
NTSCの規格は、525本の走査線を、毎秒30フレームの速度で飛び越し操作を行う(インタレース方式)と規定されている。
NTSCは米国をはじめ、日本、台湾、韓国、中南米などでも採用されている。日本で採用されている仕様は細部が標準規格とは異なっており、特に区別する場合は「NTSC-J」と呼ばれている。ちなみにヨーロッパなどではPALやSECAMが採用されている。
なお、日本では、テレビ放送のデジタル化に際して日本が開発したISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)規格への移行が進められており、2011年7月までにNTSCによる放送は廃止される。同様に、米国でもデジタル化のため他の規格が設けられている。
NTSC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/16 17:54 UTC 版)
NTSCは、コンポジット映像信号および、それを用いたテレビジョン放送方式の仕様および標準規格「RS-170 (A)」「SMPTE-170M」などの通称。
NTSCとは規格を策定したNational Television System Committee(全米テレビジョンシステム委員会)の略。特に1953年に定められたカラーテレビ放送規格を指す。開発国のアメリカ合衆国などとともに、日本のアナログテレビ放送システムが採用していた規格である。
前述の正式名称(規格票)は専門書等以外ではほとんどみられない。
歴史的経緯
1927年、フィロ・ファーンズワースが、サンフランシスコで全電子式テレビジョンの公開実験を行った。その後1933年、アイコノスコープが開発され、さらに感度を向上させてスタジオ撮影も可能とした1938年のオルシコン開発といった、改良された各種撮像管の開発などの要素技術の発展を受けて、1930年代末頃には研究室内での実験段階をクリアして、商業放送が可能な水準へと到達した。しかしその時点において、各社各様のさまざまな仕様が乱立する気配を見せはじめていた。
そこで1940年、Radio Manufacturers Association(RMA、後のElectronic Industries Alliance(EIA))によって、National Television System Committee(NTSC)が組織された。
NTSCによる仕様の策定には9か月ほどを費やし、幾度となく会合が開かれ、実験も行われた。その成果は、1941年3月に推奨規格としてFederal Communications Commission(FCC)へと提出され、同5月に商業放送が承認された。1957年、この白黒テレビ方式の標準は、EIAによって、RS-170として編纂されまとめられた。
1940年代末から1950年代初頭にかけて、カラー放送開始に向けての機運が高まった際にも同様の仕様の乱立の気配ないしその危惧から、NTSCが再招集された。その結果1953年に、RCA社が基本原理を開発したカラー方式への拡張(と、わずかな変更)を標準として採択し、その後は規格の厳格化と定義の厳密化を経て、その主要な役割を最後まで全うしつつある今日に至っている。
概要
ここでは、1953年にFCCによって商業放送が承認されたカラーテレビジョン放送全米標準方式(1977年に暫定規格 EIA RS-170Aとしてまとめられ、さらに1994年、SMPTE-170Mとして厳格化)について主に記す。
1940年代から放送が行われていた白黒テレビジョンとの後方互換性を維持しつつ、明るさではなく光の三原色(赤・緑・青)の動画信号を伝送・表示するために、1950年代の市販家電製品に採用可能な様々な技術が投入されている。輝度の変化に関しては小さく細かい変化まで判別できるが画像の中で色彩だけが変化している部分は網膜に映る面積がある程度以上広くないと変化の存在自体を認識できない人間視覚の特性を利用して、そのまま送信すると白黒放送の3倍の電波帯域幅が必要になるカラー映像信号を1/3の帯域に圧縮している。
明るさを表す輝度信号と色の座標を示す2つの色度信号に撮像素子から出力された三原色の強さを表す信号をマトリクス変換し輝度信号には白黒放送との互換性を持たせ、色差信号はローパスフィルターにより大幅な帯域制限を行って色副搬送波(カラーサブキャリア)で直交振幅変調をかけてクロマ信号とし、輝度信号や音声信号との相互妨害を極力発生させないような形態に合成して放送する。
各家庭の受像機では、視聴するチャンネルの放送周波数帯を選択増幅し、検波器でベースバンド映像信号に復調したものから輝度信号と色差信号を分離し逆マトリクス変換によって三原色の強さを表す信号を復元し、カラーブラウン管(今日では液晶やプラズマディスプレイを始めとする平面表示デバイス)に動画像を表示する。
NTSC委員会の策定したカラーテレビジョン放送方式を採用している国はアメリカ、カナダ、メキシコ、日本、台湾、韓国、フィリピン、中南米諸国の一部、太平洋諸島の一部などである。採用国数と視聴可能人口ではインドと中国も採用しているPAL方式の陣営が圧倒的に上回るが、アメリカが映像ソフトの供給大国であることから市場における各方式の地位・重要性は単純に比較出来ない。
詳細
白黒テレビジョンとの互換性
白黒テレビとの後方互換性を維持するため、以下の基本諸元を引き継いでいる。
- 表示画面の縦横比は縦3:横4
- 番組は生放送だけでなく、画面の縦横比は録画放送にも対応する必要があり、記録媒体の規格に合わせて縦横比が決められた。1940年代当時は動画を記録できる媒体がフィルムしかなく、映画フィルムのスタンダード比率と等しくされた。
- 総走査線数は525本、2:1インターレース
- 水平走査フリーラン用発振を電源周波数の逓倍で作れるよう、比較的小さな奇数の積525=3×5×5×7とした。60Hz×525=31500Hzを双安定マルチバイブレータで1/2分周した相補出力の矩形波を積分器に通して相補出力の鋸歯状波を得て上昇ランプ側の波形だけを選択し、放送波を受信していない時にも水平偏向系を駆動する。また525本という数字は後述する通り、当時の16mm映画フィルムと同等の画質を実現しようという目標に沿ったものでもある。水平走査線525本の全てが映像表示に使えるわけではなく、垂直帰線にともなうブランキング期間を差し引いた485本のうちオーバースキャン率90%を考慮した436本あまりがブラウン管上に表示可能な走査線数となる。更に、画像を走査線の集まりとして描いている影響[注釈 1] がもたらすケル係数を掛け合わせて、視覚上の垂直解像度は436×0.7≒305本程度まで低下する。画面縦横比3対4で水平方向に400ラインペアの解像度を要求すると、それにみあう垂直解像度300本以上をどうにか満たす数字となる。
- 飛び越し走査を採用した理由は、当時唯一の実用表示デバイスであったブラウン管の特性に依る。ブラウン管においては発光しているのは電子ビームが当たっている一点のみであり、例えば垂直走査の終わるまぎわ、画面の下部にある走査線を描いている頃には画面上部の領域は蛍光体の残光も消尽して暗くなってしまい毎秒30フレーム程度の描画では視聴者にフリッカーを認識させてしまう事が分かっていた。だからといって毎秒60フレームで走査線525本の表示を実現しようとすると後述する通りの計算をした場合、映像信号の帯域幅が9MHz弱、放送チャンネルは10MHz幅近くもの膨大な周波数資源を浪費してしまう。
- そこで1枚のフレームを2フィールドに分け、第一フィールドでは1/60秒の間に1,3,5,7…本目の走査線を、次の第二フィールドでは同じく1/60秒間に2,4,6,8…本目の走査線を一本おきに描画して目の残像作用により1/30秒で1枚のフレームを合成する飛び越し走査が採用された。飛び越し走査により動きのある映像ではラインフリッカーが発生するため、テレビカメラにはこれを軽減する光学的ローパスフィルターが挿入される。垂直解像度はケルファクターによる低下に加えて更に減少するが、毎秒60フレームで表示したのと同等の滑らかな動きとフリッカーの少ない表示品質を限られた信号帯域で実現できる利点の方を重視した。
- 基準となるブランキングレベル 0Vを0IRE、輝度100%時の電位を100IREとしたとき同期信号のレベルは-40IRE
- 同期信号とは水平同期信号と垂直同期信号の総称で一続きになって送られてくる映像信号の水平位置と垂直位置の区切り、走査開始の基準となるタイミングを示すパルス状の電気信号である。受像機のブラウン管の水平/垂直走査駆動回路は水平同期信号を受信すると視聴者側から見て右端を照らしていた電子ビームを左端に戻し、垂直同期信号を受信すると下端の走査線を描いていた電子ビームを上端に戻す。戻しきった後は再び視聴者側から見て左から右へ、上から下へと電子ビームの偏向を開始する。映像信号と同期信号との明確な区別が付くよう、基準電位(ブランキングレベル)を0Vとしたとき映像信号は正電圧、同期信号は負電圧に振り向けている。垂直同期信号と水平同期信号との区別は、垂直同期パルスが水平走査線周期の3倍の長さを持っている事を利用して行う。
- IREとは基準電位(ブランキングレベル)の0Vを0IRE、映像信号の輝度100%の時の電位を100IREとする相対値で同期信号の電位は-40IREと規定されている。つまり同期信号の底から最大輝度まで映像信号全体の振幅140IREを1V p-pとする場合、同期信号はブランキングレベル-286mV、映像信号の最大値は+714mVとなる。直流電圧を伝えられない伝送系を介する場合、また負電圧を扱えない単電源の増幅回路を使用する場合は同期信号の底のレベルもしくは水平同期信号直後のブランキングレベルを各々の機器で内部の基準とする電圧に揃えるクランプ回路を受信側に設けて限定的直流再生を行う。
- 表示に使うブラウン管の想定ガンマ値を2.2とし、送出側であらかじめ一括補正
- ブラウン管も真空管の一種であり、制御グリッドに印加する電圧と表示光量とが直線比例していないという特性を持つ。増幅回路であればほぼ直線比例していると見なせる領域のみを使用し最も歪みの少ない動作点を選べば良いが、ブラウン管は最大輝度:電子ビーム電流最大から黒:電子ビーム電流ゼロまでの全動作領域を使用するため、どこかの段階で何らかの方法で補正してやらなければ画像が異様に暗く表示されてしまう。NTSCではブラウン管の発光輝度は制御入力電圧の2.2乗に比例すると想定して、カメラからの出力直後の段階で信号電圧を0.45乗してガンマカーブを補正してから放送を行っている。数億台分もの補正回路を各受像機毎に付けるより、放送事業者側で一括補正した方が受像機のコストダウンになる為である。
- 放送時の映像信号帯域は水平解像度にして約330本
- 当時の16mm映画フィルムと同等の解像度、400ラインペア程度を目標として設定された。水平走査線一本分の時間
NTSC放送波の1チャンネル中の周波数スペクトラム分布。なお、インターリーブ状の特性はこの図では表現されていない。 前節で述べた白黒放送の諸元に対し、カラー放送では色差情報(クロマ信号)を付加する為の色副搬送波(周波数 fsc で示す)を追加した他、水平同期周波数 fh と映像 - 音声搬送波周波数の差 fa が整数倍の関係になるよう変更している。
75μ秒でプリエンファシスされた信号を50μ秒でデエンファシスした結果 そしてこれはテレビジョン放送規格の差異ではないが、日本のFMラジオ放送では音声信号のエンファシス[注釈 6]時定数は欧州規格と同じ50 μsを採用している。アメリカや韓国・フィリピンなどではFMラジオ放送のエンファシス時定数とテレビのそれとは同じ75 μsであるため、テレビの音声放送周波数にチューニングダイヤルを合わせる事が出来れば(あるいは周波数変換機:コンバーターを使用すれば)テレビの受像機が無くても音声部分だけはラジオで聞く事が出来る[注釈 7]。しかし日本規格(50 μs)のFMラジオ受信機で何の対策もせずにエンファシス時定数75 μsで放送されているTV音声を聞くと高域が強調されて、いわゆる「キンキンした」音になってしまう。
アナログテレビジョン放送の終焉
NTSCカラー放送方式は激しい変革と急速な進化を遂げ続けている電子工業界において50年以上もの長きにわたって第一線にとどまり続け、その間も消費者の厳しい評価に応え続けてきた規格である。しかし放送通信のデジタル化は時代の趨勢であり、特に算術処理により動画データを高圧縮するMPEGを始めとした技術の実用化に伴って衛星放送はもとより地上波でも高精細度デジタル放送への移行がNTSC各国で進行した。
アメリカではATSC(Advanced Television Standards Committee、先進型テレビ標準委員会)による標準方式が策定され、地上波放送を受信し得る13インチ以上のテレビジョン装置は全てこのATSC方式のチューナーを備えるよう義務づけている。地上波アナログ放送は2009年6月12日をもって終了しており、低所得者層向けの移行支援としてデジタル放送をNTSCベースバンド信号に変換する単機能チューナーを購入する際に使用できる40ドル分の割引クーポンを配布していた。
日本においても、電波産業会(ARIB)が規定するISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)方式への移行が予定された。BSデジタル放送は2000年、CSデジタル放送は2002年、地上デジタル放送は2003年に開始した。本来無料放送である民放局の番組にまでスクランブルをかけ、その解除キーであるB-CASカードをチューナーやレコーダーに挿入しないと受信できない煩雑さや件のB-CASカードを独占販売している私企業・株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズが視聴者一人一人の個人情報を把握している危険性、それらを始めとする視聴者および製品購入者にとって不利益となりうる情報がシュリンクラップ契約で覆い隠され周知されていない隠蔽体質など非難も多く実現を危ぶむ声も聞かれたが、2011年7月24日をもって被災3県以外の地上波アナログ放送は停波された。東日本大震災の被災地である岩手県・宮城県・福島県(以下被災3県)では、アナログ放送完全終了が震災の特例法により、2012年3月31日に延期されていた。被災3県以外のテレビ局では、2011年7月1日からはすべての放送時間帯で停波の告知放送に切り替わり、番組放送自体も音声のみの放送となる計画であったが[3]、画面左下に停波告知を常時表示(CM中を除く)し、映像と音声共に7月24日正午まで放送するように変更された[4]。低所得者層への移行支援策として、生活保護世帯および身体障害者世帯などをはじめとする、市町村民税やNHK受信料が全額免除となる世帯への単機能チューナー無料給付制度が開始されている[5]。
またこれに伴って一部の番組で2009年度から段階的にレターボックス(サイズは「レターボックス16:9」が主であるが、NHKの番組によっては「-14:9」「-13:9」もある)での放送に移行していたが、2010年7月5日付の放送開始から全ての番組をデジタルと同様にレターボックス16:9に変更した(一部のコマーシャルは従来と同じ4:3サイズとなるものもあり)。それに先駆けて、一部の新番組(NHKなど)や日本テレビ系列の収録番組(生放送番組を除く)は同年4月からレターボックスサイズでの放送に切り替わっている。被災3県を除く44都道府県では、2011年7月24日正午にアナログ放送は地デジ移行を促す青色単一の画面に変わり番組が終了、25日0時までにコールサインを読み上げた後[注釈 8]、被災3県を除く放送局のアナログ放送が停波した。アナログ放送終了が2012年3月31日に延期されていた被災3県については2011年7月25日以降、CM中でもアナログ終了告知テロップの表示を開始し4:3のCMもレターボックス化(上下左右の額縁放送)、2012年3月12日から「アナログ放送終了まであと○○日」と書かれたカウントダウンの表示、2012年3月31日正午にアナログ放送は地デジ移行を促す青色単一の画面に変わり通常の番組が終了、1日0時までに被災3県に於ける放送局のアナログ放送が停波し、日本全国で完全デジタル化が完了した。これで、日本のアナログテレビジョン放送は完全に廃止され、約60年の歴史に幕を閉じた。なお、日本の地上アナログテレビジョン放送で使用されていた周波数領域は今後携帯端末向けマルチメディア放送や地上デジタルラジオ放送、防災・行政無線他に使用される計画となっているほか、中波放送の混信・難聴取の対策として、FM補完中継局(通称・ワイドFM 当初は90-95MHz)に活用されている。
→詳細は「2011年問題 (日本のテレビジョン放送)」を参照世界の多くの地域で変調波によるNTSC信号の放送は終了したが、ベースバンド転送は、単一同軸ケーブルで転送可能でかつ確立した(したがって非常に安価な)技術として、防犯カメラ、車載カメラなどの短距離のSD(標準画質)動画転送手段として今でも広く利用されている。
脚注
注釈
- ^ 画像を水平走査線で分解するという事は、垂直方向にはサンプリング(標本化)を行っているのと等価であり、436本というのは白い水平線と黒い水平線を交互に並べた画像を白と黒の境目が走査線の境目と一致するように撮影した理想的な状況下での最大解像度である。撮影するTVカメラを上か下に1/2ラインずらした時の画像を想像してみて欲しい。一面灰色の、何も描かれていない絵が表示されてしまう事になる。またカメラのズームレンズをワイド側に引いて白と黒の周期を走査線の周期の等倍未満にするとナイキスト定理によるモアレが発生し、この場合も元の絵とかけ離れた画像になってしまう。
RCA社のレイモンド・D・ケルはこの現象の調査の為、一般人を含む視聴者に様々な画像を見せて実験を行い人間が視認可能な垂直解像度は状況にも拠るが走査線数の64%(1934年調査) - 85%(1940年調査)になるという観測結果を得た。一本の走査線の中でも電子ビームが当たっている中央部が最も撮影時の感度が高く(表示時には明るく)中心から離れるにしたがって感度や輝度が漸減して行く撮像管撮影・ブラウン管表示システムでは低下の度合いが大きく約70%であるが、CCDやCMOSといった撮像素子で光学像をとらえLCDやプラズマディスプレイのような表示デバイスに映し出す場合は走査線の幅の下端から上端まで同じ感度を持ち同じ輝度で発光させられるためほぼサンプリング定理通りの90%程度まで向上する。
なお、ケルの実験では全てプログレッシブスキャン(順次走査)で表示した画像を使って調査しており時折言われる「飛び越し走査を行う事で起きる(とされる)垂直解像度の低下現象」とケルファクターとは本来無関係である。
参考:M. Robin, "Revisiting Kell", Broadcast Engineering, May 2003 & Kell, Bedford, Trainer, "An Experimental Television System : Part II - The Transmitter", Proceedings of the IRE, vol.22 issue11, page 1246-1265, 1934, ISSN 0096-8390 - ^ 走査線1本の幅が視角度1分(1/60度)未満になる距離。視力1.0の人物を標準的な視聴者として想定したとき、この人がこの距離よりもブラウン管から離れると画面上に並んだ走査線間の隙間が潰れ「走査線の集まり」ではなく「面」として認識されるようになる。画面縦横比3対4で総走査線525本、映像信号を含む事ができる有効走査線が485本、オーバースキャン率90%を考慮すると画面上に表示される走査線数は430本あまりになるNTSCの場合、画面対角線の長さの6倍とされている。
- ^ 水平方向の全てのタイミングの基準点。色副搬送波のゼロクロス(位相0度および180度)点もここに同期させている
- ^ 現代の16mm映画フィルムは、HDTVのそれを越える2000ラインペア以上の分解能を持っている。
- ^ 等しければ、明暗の帯や画像のゆがみの位置は画面上で固定される。
- ^ FM変調では、変調前の信号の周波数が高くなるに従って復調後の信号に現れるノイズが増加するという特性を持っている。そのため変調前の信号の高域を強調しておき、復調後に高域を減衰する事でノイズレベルも同時に低下させるプリエンファシス/ディエンファシス処理がラジオ放送その他で一般的に行われている。
- ^ ただし周波数変移はFMラジオの±75kHzからTVでは±25kHzに狭まっているため、音量は1/3となる。
- ^ NHKの全放送局、サンテレビ、放送大学などは停波直前にコールサインを読み上げていない。
出典
- ^ see FCC Code of Federal Regulations Title47 Part73 Section699 figure7 .
- ^ 大塚吉道「NTSC-フイールド周波数59.94Hz, 1000/1001の秘密-」『映像情報メディア学会誌』第54巻第11号、2000年、1526-1527頁、doi:10.3169/itej.54.1526。
- ^ アナログテレビ放送 “終了”1カ月前倒し/NHK・民放計画 映像やめ音声のみ
- ^ 7月1日以降のアナログ放送で画面左下に停波告知-画面の1/9で「アナログ放送終了まであと○日」 - AV Watch、2011年6月17日。
- ^ 総務省ウェブページ 「地上デジタル放送受信のための支援(簡易チューナー無料給付等)」
関連文献
- NTSC規格のベースバンド部分の定義は、米国映画テレビ技術者協会 (SMPTE) によりSMPTE-170Mとしてまとめられている。最新の2004年版は、国際電気通信連合 (ITU) からRecommendation ITU-R BT.1700,Characteristics of composite video signals for conventional analogue television systems.として提供されているアーカイブに同梱された形で入手可能である。
- 変調され放送波となった信号の特性は、同じくITUのWebサイト上で公開されているRecommendation ITU-R BT.1701-1 Characteristics of radiated signals of conventional analogue television systemsという文書にまとめられている。
- 1953年のカラー放送規格制定当初の内容は、FCCのWebサイト上で公開されているCode of Federal Regulations (CFR) Title47 の Part73.682 TV transmission standardsとその図表・Part73.699 TV engineering chartsが参考になる。
- 日本における同様の文書は、総務省所管法令「標準テレビジョン放送(デジタル放送を除く。)に関する送信の標準方式」(平成三年七月十七日郵政省令第三十六号)および「標準テレビジョン音声多重放送に関する送信の標準方式」(昭和五十八年五月三十日郵政省令第二十三号)である。両書とも総務省ウェブサイトにおいて公開されている。
- 1940年の委員会招集から白黒テレビジョン全米標準規格策定に至るまで、および1950年の再招集からカラーテレビジョン規格制定に至るまでの概略史、またその後のEIAとSMPTEによる規格編纂と定義厳密化の経緯がSMPTE Engineering Guideline 27 (Supplimental Information for SMPTE 170M and Background on the Development of NTSC Color Standards) に書かれており、IHSなどから有償で購入できる。
関連項目
外部リンク
ウィキニュースに関連記事があります。地上テレビ放送、民放でも常時「アナログ」マーク放送
- ^ 画像を水平走査線で分解するという事は、垂直方向にはサンプリング(標本化)を行っているのと等価であり、436本というのは白い水平線と黒い水平線を交互に並べた画像を白と黒の境目が走査線の境目と一致するように撮影した理想的な状況下での最大解像度である。撮影するTVカメラを上か下に1/2ラインずらした時の画像を想像してみて欲しい。一面灰色の、何も描かれていない絵が表示されてしまう事になる。またカメラのズームレンズをワイド側に引いて白と黒の周期を走査線の周期の等倍未満にするとナイキスト定理によるモアレが発生し、この場合も元の絵とかけ離れた画像になってしまう。
NTSC
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/07/05 09:11 UTC 版)
詳細は「NTSC」を参照 映像信号であるカラーテレビジョン信号方式の一つNTSC方式は北米と日本、台湾などで用いられている。アスペクト比は、4対3である。NTSC方式の走査線は、525本(有効走査線は、480本)なので、ドットに換算すれば、640×480ドット(VGA相当)になる。 伝送フレーム数:29.97フレーム/秒 2:1インターレース 水平同期信号:15.734264kHz 垂直同期信号:59.94Hz 輝度信号帯域:約6MHz 色搬送波信号帯域:約3MHz 水平解像度:約500TV本(最大) 同期周波数は白黒より僅かに低く設定されている。 画面アスペクト比は基本的には「4対3」だが、画像をスクイーズさせ、ID-1信号と一緒に伝送する事で、「16対9」のワイド映像にも対応している。 D端子では、NTSC信号と同等の品質の映像信号のための規格をD1としている。 ※DVDレコーダー(NTSC方式)では、映像信号を、720×480ドットで記録・再生する。
※この「NTSC」の解説は、「映像信号」の解説の一部です。
「NTSC」を含む「映像信号」の記事については、「映像信号」の概要を参照ください。
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