commitment
「commitment」とは、委託・責任・大義・献身を意味する英語表現である。
「commitment」とは・「commitment」の意味
「commitment」とは、責任・委託・委任・献身・関与・引き渡し・約束という意味がある。その他には、政治などにおける公約、保険会社などとかわす契約書・確約書、刑務所などへ投獄・拘留する際の引き渡し、政治活動や宗教への傾倒という意味もある英単語だ。基本的には、何かの事象に対して責任を持ち取り組むことを約束する・実行するという意味で使われることが多い。英検準1級以上、TOEIC L&Rスコアは730点以上のレベルの英単語だ。
「decommitment」は、否定・逆転という意味がある「de」が冒頭に付いているので、「commitment」を否定する意味がある。日本語に訳すと、責任を放棄する・約束から逃れる・委託を受けないという意味だ。
「commitment」は名詞であり、動詞の場合は委託する・責任を持つ・引き受けるという意味の「commit」と表記される。ビジネスシーンで使われることが多い「コミット」という言葉は、「commitment」の動詞表現「commit」が由来となった言葉だ。具体的には、「事業にコミットする」「営業目標をコミットする」のように用いる。
「commitment」の発音・読み方
「commitment」は、「コミットメント」と読む。「ミ」の部分にアクセントを置き、「カァミトゥマァントゥ」と発音すると良い。発音記号は「kəmítmənt」である。「commitment」の語源・由来
「commitment」は、一つにする・協力する・団結するという意味のラテン語「commito」が語源である。「commito」が後に、委ねる・すべてをささげる・任せるという意味の「commit」に変化し、さらにことという意味がある接尾語「ment」が付け加えられたことが由来だ。その他には、委員会という意味の「committere」が語源という説もある。「commitment」の類語
「commitment」の類語は、責任・義務・負担という意味の「responsibility」、委託・託送という意味がある「consignment」、献身・信心という意味を持つ「devotion」、関与という意味の「involvement」、引き渡し・配送・配達という意味がある「delivery」などがある。また、約束・期待・契りという意味の「promise」、確約書という意味である「pledge」、系統・体制という意味で使われる「system」も類語として挙げられる。
「commitment」を含む英熟語・英語表現
「commitment」を含む英熟語・英語表現には、「commitment to」「have a commitment」「make a commitment to」「promote commitment」などがある。「commitment to」とは
「commitment to」とは、~に対し積極的にかかわっている・~に傾倒している・~に深く関与しているという意味がある英熟語だ。
「have a commitment」とは
「have a commitment」とは、~に献身する・~に対して責任がある・約束しているという意味がある英熟語だ。「have a commitment to」という形式で使う。
「make a commitment to」とは
「make a commitment to」とは、誓う・約束する・公約するという意味がある英熟語だ。基本的には、確実に約束する・全力で誓うといった強い意味合いを持つ。
「thank you for your commitment」とは
「thank you for your commitment」とは、約束を守ってくれて感謝します・献身に感謝していますという意味がある英熟語だ。寄付のご協力ありがとうございますという意味もあるので、募金の際などに使われることもある。
「promote commitment」とは
「promote commitment」とは、約束を促す・確約・公約を促進するという意味がある英熟語だ。「commitment to promoting」と表記すると、推進・普及への取り組みという意味がある。
「commitment」の使い方・例文
「commitment」の使い方・例文は、「当社は環境保護に取り組んでいます」という意味の「Our company is commitment to environmental protection.」、「彼女は彼の元に戻ることを約束しています」という意味がある「She is commitment to return to him.」、「私は(彼に)1月1日までに彼に返済する約束をしています」という意味の「I have a commitment (to him) to repay him by 1 January.」などがある。その他には、「彼は英文学の研究に真剣に取り組んでいます」という意味がある「He has a serious commitment to his English literature studies.」、「あなたの忍耐強いサポートに感謝します」という意味の「Thank you both for your support, unending patience.」、「彼らは政治活動に深く関与している」という意味がある「They have a firm commitment to the political activity.」等も挙げられる。
コミットメント
「コミットメント」とは・「コミットメント」の意味
「コミットメント」は英語の「commitment」に由来するカタカナ語で、「委託」や「公約」、「責任」などの意味で主にビジネス用語として用いられている。「我が社のコミットメントは2年以内に二酸化炭素の排出量を10%削減することだ」という表現は、2年以内に二酸化炭素排出量の10%削減を公約するという意味になる。また、「コミット」という言い回しもあり、「我が社は二酸化炭素の排出量の10%削減をコミットする」という言い回しも、「二酸化炭素の排出量の10%削減を公約する」という意味になる。ビジネスにおいては、「リーダーシップ」と「コミットメント」を実証することがトップマネージメントの資質だとされている。看護業界においては「組織コミットメント」という言葉が用いられ、看護師が組織に深く関わることで一体感を高め、医療の向上を図っている。「組織コミットメント」が高い医療現場の方が、より良い医療を提供するとされている。心理学においては、「コミットメント効果」という表現がある。新しいことを始めたり、目標に向って何かを行ったりする場合、「コミットメント(宣言・公約)」することで実現しやすくなることを指す。
「コミットメント」の熟語・言い回し
コミットメントを果たすとは
コミットメントを果たすとは、公約や成約を果たすという意味である。政治家がマニュフェストを実現したり、企業が掲げていたプロジェクトを成功させたりした時に用いられる表現である。コミットメントを果たすことで、社会的信頼を獲得することもできる。
組織コミットメントとは
組織コミットメントとは、所属する組織に対する従業員の帰属性や関係性のことを意味する。従業員と組織の心理的な距離が近いと組織コミットメントが高く、満足度の高い組織ということになる。
プリコミットメントとは
プリコミットメントは、自分の将来の行動を予測して予めそのための対策を施しておくことである。ダイエットを挫折しないために「夏までに5キロ痩せる」と宣言したり、英語の勉強に打ち込むために「海外留学をする」と宣言したりするのもプリコミットメントである。
デコミットメントとは
デコミットメントは、コミットメントを守れないという意味である。デコミットメントは周りからの信頼を落としてしまうが、できるだけダメージを抑え問題を解決することが、優秀なビジネスマンの資質だとされる。
コミットメントラインとは
コミットメントラインは、金融機関から顧客が従来の審査を経ずに融資を得られる限度額の範囲のことである。
ブランドコミットメントとは
ブランドコミットメントとは、ブランドに対する愛着度のことである。購買行動との関連が高く、ブランドコミットメントが高いほど価格に関わらず購買される確率が高くなる。
「コミットメント」の使い方・例文
・政府は、和平プロセスへのコミットメントを再確認した。・その会社は創業時に掲げたコミットメントを果たさなかった。
・結婚はもはや生涯のコミットメントとみなされていない。
・彼は、ディーラーの収益性を改善するという自動車メーカーのコミットメントに勇気づけられた。
・私たちはリサイクル品を購入するというコミットメントで、公共部門とビジネスにおいて模範を示した。
・組織のコミュニケーションは、スタッフの理解とコミットメントを高めるうえで重要である。
・いくつかの慈善団体から、食べ物や衣類を寄付するというコミットメントを得た。
・彼女はブランドコミットメントが高く、新商品が発売されると必ず購入する。
・社会的コミットメントに対応できない参加者は、社会的接触を避ける傾向があった。
・彼らが無償で参加するのは、純粋にサブリージョンにおける科学の発展へのコミットメントによるものである。
拘束
コミットメント commitment
コミットメント
経済学においてコミットメント(こみっとめんと、英: commitment)とは、その行動しかとれないようにするような実効性のある仕組みをつくることを意味する[1]。つまり、単なる口約束ではなく「自分の行動を縛る具体的な仕組み」をつくらなければコミットメントではない[2]。 合理的な一人の人間が意思決定する場合には選択肢が広いほど良いのに対して、複数の主体(個人・企業・政府など)が相手の出方を伺いながら行動する場合には、選択の幅を狭め、自分にとって最適な行動がとれないようにすること(= コミットメント)によってかえって得をする場合があり、経済学の一分野であるゲーム理論ではこのような状況が分析されている[1]。
コミットメントの例
経済学者の神取道宏(東京大学教授)はコミットメントの例として次の6つを挙げている。
- 金融危機と銀行破綻処理[3]
- 個別の銀行が破綻しそうなとき、金融システムや経済の安定化のためには政府が経営不安に陥った銀行を公的資金投入により救済する必要がある。しかし、銀行が経営不振に陥る前に政府が「破綻した銀行は救済しない」と宣言しておくことによって、銀行の経営規律が守られ、かえって金融恐慌が起こりにくくなるかもしれない。
- スペイン軍のメキシコ侵攻[2]
- 植民地を作るためにメキシコに侵攻したスペイン軍を率いたエルナン・コルテスは現地に着いた際に1隻を除く全ての自船を焼き捨ててしまった(1519年)。スペイン軍は「戦う以外の選択が出来なくなる実効性のある仕組み」をつくることによって相手を怯ませ有利に戦いを進めることができた。
- ユーロ危機[4]
- ユーロ加盟国が財政危機に陥った場合、他の加盟国も悪影響を受ける可能性があるため、破産しそうな一加盟国を加盟国全体が救済する誘引が存在する。それに対し、財政破綻した国に対する制裁を条約化することによって、各国の財政規律が守られて財政危機が起こりにくくなるかもしれない。
- テロ対策[5]
- テロが起きた際、テロリストの要求に従うことが政府にとって最適な選択に見える。しかし、テロリストの要求に従うことは長期的にはテロ発生の頻度を高めてしまうかもしれない。この例において、「テロに対して強硬な対応を法律で義務化すること」や「タカ派の政治家を首相や大統領にしておくこと」が一種のコミットメントとなる。
- 最低価格の保証[6]
- 家電量販店が「他店の方が安い場合は同じだけ値引きします」と宣言することはコミットメントである。この宣言により他店はいくら値引きしてもコミットした店舗から顧客を奪うことが出来なくなり、結果として値引き競争を回避できる。
- 画家は版画の原版を廃棄する[7]
- 画家が「版画を増刷する」という選択肢を自ら出来なくすることによって、コレクターは作品の希少価値を信じて高額の評価をする。画家が規定の100枚を刷った後に原版を捨ててしまうことは事後的には最適ではないが、「絶対に増刷しない」ことにコミットすれば、作品の希少価値が担保される。
双曲割引の下でのコミットメント
心理学の影響を強く受けて生まれた行動経済学と呼ばれる分野では人間の非合理な側面が研究されており、人間が常に将来の利益よりも目先の利益を過大評価してしまう双曲割引と呼ばれるバイアスが明らかになっている[8]。 このような双曲割引の下では、現在の自分が将来の自分の選択を制限(コミットメント)することによってより良い選択を実現することが可能である[9]。 このような双曲割引が問題となる具体例として、過剰消費やダイエットが挙げられる。 双曲割引の下では消費が過剰になり思い通りに貯蓄ができなくなってしまう。ハーバード大学のデビッド・レイブソン[10]は貯蓄におけるコミットメント手段として非流動性資産を用いて過剰消費と過小貯蓄の問題を緩和するモデルを提案している[11]。
出典
参考文献
- 池田新介『自滅する選択: 先延ばしで後悔しないための新しい経済学』東洋経済新報社、2012年。ISBN 978-4-492-31422-7。
- 神取道宏『ミクロ経済学の力』日本評論社、2014年。ISBN 9784535557567。
- Laibson, D. (1997-05-01). “Golden Eggs and Hyperbolic Discounting”. The Quarterly Journal of Economics 112 (2): 443–478. doi:10.1162/003355397555253. ISSN 0033-5533 .
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