古代の御所 瓦から迫る
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廃寺や窯跡などで出土
企画展 山麓に寺院並ぶ風景
御所市内で見つかった飛鳥時代の瓦に着目した企画展「御所市域の古代寺院と瓦」が、市文化財展示室(御所市室)で開かれている。山麓に寺院が並び立ち、藤原宮の瓦を供給した窯もあった、かつての姿をうかがわせる展示だ。(中井将一郎)
飛鳥に近く、巨勢氏など古代豪族の本拠地となった御所市域。展示では、市内の廃寺や窯跡などで見つかった飛鳥時代以降の瓦80点を並べ、古代の「首都近郊」の風景を想像させる。
二光寺廃寺(7世紀後半)から出土した、ハスの花をかたどった「
出土した瓦は、渡来系氏族の寺とされる檜隈寺跡(明日香村)や藤原宮などと同じ型式のものなどバラエティーに富む。市教育委員会の金沢雄太技師は「様々な地域や渡来系氏族の協力があったことがうかがえる」とし、渡来系氏族によって、こうした寺が山麓に相次いで建立されたという。
古代寺院が造られた背景は、かつては権力の象徴だった古墳が6世紀の仏教流入によって、寺院に代わっていったことがあるという。
水泥北古墳(6世紀後半)ではその過渡期がわかる。地下に埋められていた、土器製の排水管は2個の丸瓦をくっつけたような円筒形で、瓦と同じ土質。寺院の丸瓦と同じ製法で造られたとみられる。土管は国内初の本格的寺院だった飛鳥寺でも発見されており、金沢技師は「仏教が入ってきた時代、先端技術も同時に取り入れられたことがわかる。古墳と寺院の文化が結合した事例」とする。
藤原宮に瓦を供給した最大の瓦窯であることがわかった高台・峰寺瓦窯の平瓦も紹介。27日まで。観覧無料。午前9時~午後5時。問い合わせは市文化財事務所(0745・60・1608)。