<阪神大震災 30年>被災地への祈り 響け

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震災題材「おほなゐ」 中高生演奏

「重み 分かち合いたい」

顧問の鈴木さん(右)の指導で練習に励む生徒たち(奈良市で)
顧問の鈴木さん(右)の指導で練習に励む生徒たち(奈良市で)

 阪神大震災から30年となるのを前に、震災を題材にした曲「おほなゐ~1995.1.17阪神淡路大震災へのオマージュ~」を11日、県立国際中高(奈良市)など4校の吹奏楽部が大和郡山市で開かれるチャリティーコンサートで披露する。関係者は「震災の重みをメンバーで分かち合いながら演奏したい」と練習に力を入れている。(河部啓介)

11日、大和郡山

 コンサートは、同校吹奏楽部顧問の鈴木賢治さん(41)が発起人。「震災当時を知らない生徒たちが楽曲に触れ、震災について主体的に知ってほしい」と県立高円芸術高(同)、奈良大付属高(同)に呼び掛けて実現した。

 「おほなゐ」は大地震を表す古語。震災後、音楽家の天野正道さんが作曲した。被災地などで演奏されており、「瓦解」と「荒廃、Requiem」、「復興そして祈り」を三つの楽章で表現し、震災を追体験できる。震災時に小学生だった鈴木さんは、大学時代に先輩から被災体験を聞き、この曲を初演奏。「楽曲が持つエネルギーやメッセージ性に衝撃を受けた」と振り返る。

 練習を重ねていたが、曲は難度が高いうえ、約30分にも及ぶ大作。アンサンブルコンテストなどの予定が詰まっている時期でもあり、コンクールで数々の受賞歴を誇る兵庫県尼崎市立尼崎双星高に協力を仰ぎ快諾を得た。吹奏楽部顧問の宮嵜三千男さんは「震災を経験した身として引き受けるべきと感じた。震災復興の演奏の機会を得られたので精いっぱい取り組みたい」とする。

 6日に行われた最終の合同練習では、約60人が息の合った演奏を披露。高円芸術高吹奏楽部長(17)は「実際の震災のすごさを表現するのは難しいが、私たちなりの表現が伝われば」と力を込める。国際中高吹奏楽部長(16)は、ネットで震災を特集した動画を視聴した。「気持ちが引き締まる思い。しっかり演奏したい」と意気込む。

 鈴木さんは「『祈り』のシーンが非常に重要だと思っている。つらい出来事を抱えながらも前に進んで生きていくことの大切さを生徒たちに伝えたい」と話す。宮嵜さんも「演奏できることに感謝し、一日一日を大切に生きてほしい」と願う。

 DMG MORIやまと郡山城ホールで開かれ、入場無料。午後3時開演。国際中高と高円芸術高、奈良大付属高が第1楽章を演奏する。第2、3楽章は尼崎双星高が担う。県立生駒高(生駒市)や同香芝高(香芝市)、天理市立南中などの単独演奏も鑑賞できる。

 会場では、昨年1月に発生した能登半島地震を支援する募金活動も行う。整理券の申し込みは専用フォームから。問い合わせは鈴木さん(0742・46・0017)。

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