AI開発・運用でEUが世界初の規制法…画像の無差別収集を禁止、違反事業者に制裁金56億円
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【ブリュッセル=酒井圭吾】欧州連合(EU)の欧州議会は13日、フランス東部ストラスブールで本会議を開き、人工知能(AI)の開発や運用を規制するAI法の最終案を可決した。加盟国で作るEU理事会は既に承認しており、世界で初めてとなるAI法は事実上、成立した。2026年に適用が始まる。
AI法はAIのリスクを四つに分類し、リスクに従って規制の度合いを強める。最も高いリスクには、社会的地位や政治信条、性的指向、人種を分類したり、子供を危険行為に誘導したりするAIが挙げられている。
チャットGPTなどの生成AIについては、人権や民主主義の価値観に反する内容(情報コンテンツ)を禁じ、AIの学習訓練に利用した情報の開示を義務付ける。EU著作権法の順守も求めた。
公共の場の監視カメラやインターネットの画像を無差別収集するAI利用も禁じているが、テロ対策や凶悪事件の捜査での利用は例外とした。違反事業者には最高で3500万ユーロ(約56億円)か、年間売上高の7%の制裁金を科す。
加盟国で作るEU理事会と欧州議会、欧州委員会は昨年12月、最終案に大筋合意していた。EU理事会は今年2月、全会一致で最終承認していた。今後、細かな法手続きを経て正式に成立する。