クラウドファンディングでの出資金・寄附金は経費になる?支援者側の会計処理を解説
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クラウドファンディングで寄附や出資をしたとき、その金額の一部は経費として扱うことができます。
では、どういった場合に経費にすることができるのでしょうか?その条件や会計処理について詳しく解説します。
クラウドファンディングで集めた資金の税金や会計処理は「クラウドファンディングで集めたお金にも税金がかかる?課税ルールと会計処理の方法を解説」を参考にしてください。
目次
クラウドファンディングの種類
クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を集める資金調達方法です。
個人事業主や法人がクラウドファンディングで出資を行うと、出資金を経費にできるケースもあるため、出資者にとってもメリットがあります。
ただし、出資した費用の会計処理は、クラウドファンディングの種類によって方法が異なります。
クラウドファンディングの種類は大きく2つに分けられ、「投資型」と「非投資型」に分類されます。まずはそれぞれの内容を確認しましょう。
【投資型】融資型・ファンド型・株式型
投資型には「融資型・ファンド型・株式型」の3つがあり、特徴は以下のとおりです。
- 融資型 : 希望融資先が同じ他の資産家と共に資金を出し合い、大口化して資金調達者に融資する仕組み。日本ではソーシャルレンディングという名称としても知られていて、リターンとして金利を得る。
- 株式型 : 非上場株式を購入できる。
- ファンド型 : ファンド持分を購入し、配当を得る。
この3つの投資型における共通点は、「金銭的なリターンを求めて出資をする」という点です。出資者がプロジェクトオーナー(資金調達者)にお金を貸し、後にそれに相応する利息や配当金を得るというのが主な仕組みです。
投資型クラウドファンディングの期待利回りは5%〜10%以上と非常に高く、預金金利の低い今、安定した投資先として人気です。
ただし、可能性は極めて低いですが、貸していた投資先の事業失敗や倒産などが起こったときの元金保証はありません。
【非投資型】購入型・寄附型
非投資型は「購入型・寄附型」の2つがあります。
購入型の資金提供先は商品やサービスを開発するプロジェクトに多く見られます。資金を提供後、完成したモノやサービスが提供されるという点では、通常の商品の予約販売をイメージするとわかりやすいでしょう。
寄附型の資金提供先は被災地、発展途上国、慈善事業、小規模事業などです。こちらは一見募金と同じようですが、資金調達先によっては寄附されたお金がどのように使われているのか活動報告書を閲覧することができます。
非投資型は名前のとおり投資ではありませんので、金銭的なリターンは原則ありません。その代わりに、プロジェクトによって完成したモノやサービス、権利などが提供されることがあります。
クラウドファンディングの出資金・寄附金は経費になる?
クラウドファンディングでの出資金・寄附金が経費になるかは、クラウドファンディングの種類によって異なるだけでなく、出資者や寄附先によっても異なります。詳しくみていきましょう。
投資型の場合
出資者が個人事業主の場合、単なる投資とみなされるため、経費にはなりません。
出資者が法人の場合も、資産として計上するため、経費にすることはできません。会計処理の方法としては、融資型では「貸付金」、株式型とファンド型では通常の新株式購入と同様に「投資科目(投資有価証券等)」となります。
会計処理は、たとえば「法人が出資した金額が100万円」の場合は、以下のようになります(入金手数料など諸経費は省きます)。
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 貸付金 | 1,000,000円 | 預金口座 | 1,000,000円 |
分配金提供日 | 預金口座 | 1,100,000円 | 貸付金 | 1,000,000円 |
受取利息 | 100,000円 |
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 投資有価証券(投資科目) | 1,000,000円 | 預金口座 | 1,000,000円 |
分配金提供日 | 預金口座 | 100,000円 | 受取配当金 | 100,000円 |
また、分配金から源泉徴収がなされている場合は、その分は仮払金として処理します。
購入型の場合
購入型の場合には、出資した金額分を経費にすることが可能です。ただし、経費にできるのは、事業に直接関係のある購入型クラウドファンディングに投資した場合に限ります。
会計処理は、たとえば「法人が出資した金額が100万円」の場合は、以下のようになります(入金手数料など諸経費は省きます)。
日付 | 借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|---|
入金日 | 前渡金(前払金) | 1,000,000円 | 預金口座 | 1,000,000円 |
商品提供日 | 仕入(消耗品費) | 1,000,000円 | 前渡金 | 1,000,000円 |
まず、入金日には「前渡金(前払金)100万円」として仕訳します。
そして、商品が完成して出資者側が100万円相当分の物品を受け取った日に、前渡金を仕入や備品、消耗品費などに振り替えます。通常の商品の売買と同じなので消費税は課税仕入となります。
ただし、購入型クラウドファンディングのリターンの価値が極端に低い場合は寄附型とみなされることがあるので気をつけましょう。
寄附型の場合
寄附型については、以下の4つのケースに扱いが分かれます。
1.「個人事業主」→「個人」
個人から個人へ寄附した金額は、贈与とみなされるため、必要経費として計上することはできません。
個人口座から拠出した場合は「仕訳なし」、事業用口座から拠出した場合は、「事業主貸」で処理します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事業主貸 | XX円 | 預金口座 | XX円 |
2.「個人事業主」→「法人」
個人事業主が、所得税法に規定される法人へ寄附を行った場合には、確定申告で寄附金控除の適用を受けることができます。
ただし、「寄附型」と記載があるものでも、所得税法上、寄附金控除の対象にならないものもあります。その寄附が寄附金控除の対象となるのか、クラウドファンディングサイトでしっかりと確認をする必要があります。
3.「法人」→「個人」
法人が個人へ寄附をした場合は、「寄附金」として経費計上することができます。ただし、税務上の損金として認められる金額には制限がありますので注意が必要です。
〔資本金等の額 ×12分の当期の月数×1000分の2.5+所得の金額×100分の2.5〕×4分の1=〔損金算入限度額〕
4.「法人」→「法人」
3. の「法人」→「個人」の場合と同様に、「寄附金」として経費計上することができます。なお、国や地方公共団体への寄附金と指定寄附金に該当する場合は、その全額が損金として認められます。
おわりに
クラウドファンディングは、出資者も資金調達者もうまく活用すれば非常に大きいメリットを享受することができます。メリットを最大限活用するためにも、クラウドファンディングにかかる税金や会計処理を理解しておくことは大切です。
クラウドファンディングで投資や寄附をした際に、わからないことがあれば税理士に相談してみると良いでしょう。
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