米Microsoft(マイクロソフト)は米国時間2024年5月21日から開いた年次イベント「Microsoft Build」に合わせて、クラウドサービス「Microsoft Azure」の機能強化を発表した。生成AI(人工知能)関連サービスを中心に、追加された主要25機能を解説する。
今年もAI一色に染まったMicrosoft Build。「AI時代のニーズに応える、最も完全でスケーラブルなAIインフラを用意している」。基調講演でマイクロソフトのサティア・ナデラCEO(最高経営責任者)はこう語り、Azure関連の新サービスを発表した。
プレビュー版として提供してきた生成AIサービスの中核の1つ「Azure AI Studio」は、一般利用が可能になった。AzureのAI関連機能を一元的に管理するサービスで、米OpenAI(オープンAI)や米Meta(メタ)などが提供する1600以上のAIモデルをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)経由で利用できる「MaaS(モデル・アズ・ア・サービス)」機能も近日中に一般利用可能になる。
MaaSで利用できるAIモデルの追加も発表した。NTTデータや英Stability AI(スタビリティーAI)、イスラエルのAI21 Labs(AI21ラボ)やBria(ブリア)などもモデルを提供する。これまでもラインナップに加わっていたカナダのCohere(コーヒア)は、新たに大規模言語モデル「Rerank」を追加する。これらのモデルはプレビューとして近日中に利用できるようになる。
Phi-3がマルチモーダルに
マイクロソフトが開発する小型言語モデル(SML)「Phi」ファミリーには、テキストと画像を組み合わせて入力できるマルチモーダルが特徴の「Phi-3 vision」を追加した。42億パラメーターのAIモデルで、写真の他にチャートやグラフなどの入力も可能だ。プレビュー版として提供する。同じPhiファミリーの「Phi-3-mini」(38億パラメーター)と「Phi-3-medium」(140億パラメーター)は、Azure AI Studioなどで一般利用が可能になった。
ハルシネーション(幻覚)を防ぐRAG(拡張検索生成)に使用するマネージドの検索サービス「Azure AI Search」は検索用のストレージ容量を増強。有害なコンテンツを検出する「Azure AI Content Safety」はフィルターをユーザーがカスタマイズできるようになった。
「Azure OpenAI Service」には、オープンAIが2024年5月13日に発表した最新AIモデル「GPT-4o」を追加した。GPT-4oはAzure AI Studioでも利用できる。