日本経済新聞2016年1月18日付夕刊の報道によると、トヨタ自動車は2016年4月から社内カンパニー制を導入するという。自動車事業を車のタイプに基づいた社内カンパニーに分け、各カンパニーに製品企画から生産までの権限を委ねる方針だ。同社は2013年に、対象地域を意識する形で「レクサス」「先進国」「新興国」「ユニット(部品)」の4つのビジネスユニットを設けていたが、今回のカンパニー制で製品タイプの切り口による組織に改めることになる。
人事等の全社共通の機能も可能な限り各カンパニーに振り分け、各カンパニーが自律的に運営できるようにする。各カンパニーの「社長」に権限を大幅に委譲し、次世代の経営者を育成する狙いもあるようだ。
背景にあるのは、大きくなったトヨタの企業規模が成長の足かせになりつつあることだ。トヨタの販売台数は2014年に初めて1000万台を突破し、2016年は1010万台を上回る見通しだ。しかし、2014年以降は工場新設を凍結した影響もあり、成長に陰りが見えていた。トヨタ自動車社長の豊田章男氏はかねてより、「年間販売台数600万台までは従来と同じ仕事の進め方でも構わないが、1000万台を超えたら抜本的に見直す必要がある」という考えを持っていたと報じられている。
今回のカンパニー制は、独立性の高い複数の「小さなトヨタ」に再編成することを目指しているわけだ。