ディスクロージャー(情報開示)あってこその信頼感
世の中の大きな流れを見ていると、今までブラックボックスだったものが色々見えるようになってきた。
企業経営においては、2006年に施行された会社法や2007年に施行された金融商品取引法によって、開示義務の範囲や内容が充実してきている。上場会社に対しては証券取引所が投資家にとって影響の大きい会社情報を適時に開示することを義務付ける制度を設けている。さらにIFRS(国際会計基準)に基づいた国際財務報告基準書が統一的に適用されていく動きがあり、日本も適用を迫られている。
これらはディスクロージャー(開示)と呼ばれる投資家保護のための情報公開であり、金融取引や商取引のグローバル化が背中を押している。政治の分野でも政治資金規正法によって政治資金の収支の開示を求め、授受についても規正をしている。また、「パフォーマンスだ」と言われながらも民主党の「事業仕分け」によって税金の使われ方の一端が分かりやすく公開された。
このような情報開示の流れには情報通信社会の進展が無縁ではない。インターネットなどを通じて、情報が即時かつ自由に流れるインフラが整ってきている。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やTwitter(ツイッター)などに流れる情報にも無視できない民意や真実が含まれる。権力的な情報規制を行わない限り、あふれる情報の中から真実も見えてくるものである。
開示に向けての様々なルールができることの裏には、「隠ぺい」という暗部が常態化していることがある。組織活動は放置すれば情報を隠ぺいする方向に走りやすい。隠ぺいのなかでは不正が発生しやすく、内部告発などで露呈する事件は今でも後を絶たない。後ろめたさが無ければ堂々とディスクローズすればいい。情報開示を躊躇(ちゅうちょ)するところには改善が必要なポイントが含まれているはずだ。
ディスクロージャーとアカウンタビリティー(説明責任)は一体である。欠陥商品の隠ぺいがその後の業績不振を招いた企業もあれば、積極的な情報開示と説明が企業イメージを高めた例もある。開示と説明は信頼性と密接にかかわっている。