ウィルコムの新音声サービス「だれとでも定額」をアピールする、CMキャラクターの佐々木希さん。手にしているのは、PHS端末の新モデル「HONEY BEE 4」
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だれとでも定額のサービス概要。「HYBRID W-ZERO3」など、W-SIMを使う端末では適用できない
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ウィルコムの新社長に就任した宮内謙氏。だれとでも定額により、3カ月以内に契約数を純増に戻すとした。将来的な契約数の目標を聞かれると「個人的な思いとしては」と断った上で「600万契約」とした
ウィルコムの新社長に就任した宮内謙氏。だれとでも定額により、3カ月以内に契約数を純増に戻すとした。将来的な契約数の目標を聞かれると「個人的な思いとしては」と断った上で「600万契約」とした
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ユーザー数の少ないエリアでは電柱などのマイクロセルを廃止する一方、ソフトバンクモバイルの3G基地局にPHSのアンテナを併設し、マクロセルでカバーすることで、全体のカバー範囲を拡充していくという
ユーザー数の少ないエリアでは電柱などのマイクロセルを廃止する一方、ソフトバンクモバイルの3G基地局にPHSのアンテナを併設し、マクロセルでカバーすることで、全体のカバー範囲を拡充していくという
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マイクロセルの基地局にある既設PHSアンテナのうち2本を、3Gと兼用のアンテナに交換することで、ソフトバンクモバイルの3Gのカバー範囲を拡充する
マイクロセルの基地局にある既設PHSアンテナのうち2本を、3Gと兼用のアンテナに交換することで、ソフトバンクモバイルの3Gのカバー範囲を拡充する
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ウィルコムは以前から、バックボーンをISDNからIP網に切り替える作業を進めていたが、2010年度末から2011年度初めに完了するとした
ウィルコムは以前から、バックボーンをISDNからIP網に切り替える作業を進めていたが、2010年度末から2011年度初めに完了するとした
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 ウィルコムは2010年12月1日、今後のPHS事業に関する報道関係者向けの説明会を開催。この中で、パソコン向けのデータ通信サービスについて同社代表取締役社長の宮内謙氏は「個人向けのPHSサービスは徹底的に音声に絞って事業展開する」との方針を明らかにした。

 現行のPHSのデータ通信サービスは継続し、「WILLCOM CORE 3G」の名称で提供するNTTドコモのMVNOサービスも当初予定通り2012年12月まで継続する方針を示した。次世代PHSサービス「WILLCOM CORE XGP」については、引き続き商用サービスを目指す方針を示し、事業展開について改めて発表するとしている。

 今回の説明会は、同社が2010年2月に会社更生法の適用申請を発表して以来の開催。ソフトバンクの出資を受け入れ再建することが決定してからは初めてである。説明会では音声通話向けの新オプションサービスとして、料金プランの基本料に月額980円を追加することで、PHS、携帯電話、固定電話、IP電話などへの国内通話が無料となる「だれとでも定額」を発表した。「先行して同様のサービスを展開している沖縄や北海道では、契約数が純減から純増に転じた。だれとでも定額の全国展開で、3カ月以内の純増回復を目指す。携帯電話では音声通話ができれば十分という人もおり、そうしたマーケットに向けて提供していきたい」(宮内社長)とした。

 PHSの基地局ネットワークについては、「エリアのカバー範囲は今より劣ることなく、むしろ拡充する。ユーザーが減っているところは(電柱などを利用した提供エリアの狭い)マイクロセルから(携帯電話と同様に単一の基地局で半径数kmをカバーする)マクロセルにして面を補完する。マイクロセルとマクロセルで良いネットワークを作っていけると考えている」(マーケティング担当の寺尾洋幸氏)とコメント。一部でマイクロセルの基地局を廃止しつつ、ソフトバンクモバイルの基地局にウィルコムのアンテナを併設したり、ソフトバンクモバイルとウィルコムの電波を両方送受信できるアンテナを開発したりすることで、カバー範囲を拡充しつつ基地局網の維持管理コストを下げることが可能とした。

 また、「2010年度末から2011年度初めには、バックボーンのISDNからIP網への切り替えが完了する。そうなればソフトバンクグループの他社のバックボーンと一括して管理可能になるため、バックボーンの運用コストも下げられる」(宮内社長)と語り、音声サービスの強化に向けた基地局などの設備投資を続けていく考えを示した。

 一方でデータ通信サービスについては、PHS、3G、XGPともに宮内社長からのプレゼンテーションはなかった。質疑応答で記者からデータ通信サービスの今後について尋ねられると、「データのビジネスは今も大きい。XGPの話をもうちょっとしたら発表できる」と回答。その上で、既存の個人ユーザーがXGPの商用サービス開始を待たず、他社のデータ通信回線に切り替える可能性について問われると「コンシューマー向けのPHSサービスは徹底的に音声に絞ってやっていく」とした。法人については「ソフトバンクグループにはiPhone、iPad、音声端末、1.5GHz帯のデータカードなど多様なラインアップがある。グループとしてのクロスモデルで事業展開していく。決して欠落があるとは思っていない」と語り、ソフトバンクモバイルのサービスへの移行を促していく考えを示した。

 WILLCOM CORE 3Gは、ウィルコムがXGP整備までの暫定的なデータ通信サービスとして、NTTドコモの回線を借りて自社ブランドで提供している。2009年のサービス開始当初から、最長で2012年12月までの期間限定のサービスとし、XGPの整備状況によっては都道府県単位で前倒しの終了もあり得るとしていた。その後、ウィルコムのソフトバンク系列入りが決定したことを受け、2010年9月末に新規申し込みを終了。同年10月からは3G回線をソフトバンクモバイルに切り替え、スマートフォン「HYBRID W-ZERO3」に適用している。

 WILLCOM CORE 3Gの今後について宮内社長は、「いずれは終了させることになるだろう。ただ、NTTドコモのMVNOは始めたばかりでもあり、それを指名買いして使っているユーザーもいる。当初の予定より前倒しで終了するようなことはない」と語り、既存ユーザーに対するサービスの早期終了を明確に否定した。