「ネット中立性」という言葉の発明者として知られるコロンビア大学教授のティム・ウーのバイデン政権入りには、彼がテック大企業への独占禁止法適用論者であり、Facebook 解体を強く主張していることを考えると驚いたわけだが、その意義について日本語圏のネットでちゃんと書いている人というと平和博さんくらいしかいなかった。
New York Times の記事にもあるように、ティム・ウーはおよそ10年前にも政権入りしており、再度のチャレンジと言える。
ティム・ウーに続いて Amazon の天敵リナ・カーンまで政権入りするというニュースには、これはバイデン政権は GAFA に代表されるテック大企業の独占に本気でメスを入れるつもりかと思わせる。
リナ・カーンはコロンビア・ロー・スクール准教授だが、まだ30代前半で、その若さで抜擢されるところなど日本を見ていると羨ましい。彼女の発言がフィーチャーされている日本語圏の記事って Wired の「テック企業への個人情報の集中による、新しい「独占資本主義」の始まり──規制の動きが欧米で活発に」くらいしか読んだことがないが、彼女の名前を一躍とどろかせた Amazon’s Antitrust Paradox はどこかに訳されてるのかな。
さて、2018年にティム・ウーのテック大企業への独占禁止法の適用を論じた新刊が出たときはもちろん取り上げている。彼の本って『マスタースイッチ』は出たが、それに続く『The Attention Merchants』は結局邦訳が出なかったので、今回も厳しいかと思ったら邦訳が出るのを Twitter で教えていただいた。
巨大企業の呪い ビッグテックは世界をどう支配してきたか (朝日選書)
- 作者:ティム・ウー
- 発売日: 2021/04/09
- メディア: 単行本
著者の連邦政府入りと刊行のタイミングが重なったのは多分偶然だろうが、これは良い宣伝文句ができたんじゃないかな? しかし、この本に限ったことじゃないけど、Amazon にページができているのに版元の朝日新聞出版のサイトにページができていない。こんなんだから、あんたら Amazon においしいところを持っていかれるんだよ。