アプリ紹介サイト「アプリヴ」を提供するナイルが米国版を公開した。今後計8カ国に進出する計画だ。英語圏ユーザーの獲得の先には、米アップルや米グーグルに次ぐアプリ提供プラットフォームとなる目標を掲げる。
スマートフォン(スマホ)にアプリをダウンロードするとき、iPhoneなら「アップストア」、アンドロイドOS(基本ソフト)の端末なら「グーグルプレイ」を利用している人は多いはず。定番となったこうしたアプリ選びに目をつけ風穴を空けようとしているのが、NYLE(ナイル)だ。2012年から同社が提供しているアプリ紹介サイト「アプリヴ」は、グーグル、アップルに次ぐ新たなアプリプラットフォームへと育ちつつある。
9月に海外進出、今後8か国に展開
五反田駅から徒歩数分。オフィスビルの7階にあるナイルの受付を訪ねると、お祝い用の花がずらりと並んでいた。ナイルは9月に社名をヴォラーレから変更した。
「米国版公開のタイミングに合わせて、社名も変更しました」
こう話すのは、2007年東京大学在学中に起業した現在29歳の高橋飛翔社長。現在はアプリヴを中心としたインターネットメディア事業と、ウェブコンサルティング事業を手掛けている。
9月にアプリヴの米国版を公開し海外進出を果たした。フィリピンに設立した子会社を英語コンテンツの作成拠点とし、今後英国やカナダ、インドなど8か国に順次進出していく計画だ。
アプリヴは、アンドロイドやiPhone向けアプリの情報を紹介するサイト。アプリヴでお気に入りのアプリを見つけ、「ダウンロード」項目をクリックすると「アップストア」や「グーグルプレイ」にジャンプしアプリをダウンロードできる。利用は無料で、収益は広告でまかなっている。
2012年に提供を始めた日本語版は、現在約7万件のアプリの情報を掲載しており、月間ユーザーは600万人を超える最大手だ。
「それなら最初からアップストアやグーグルプレイでアプリを探す」と思う読者もいるかもしれない。しかし、月間600万ものユーザーがアプリヴを使用しているのは、それらにはない仕組みがあるからだ。
600万人に支持されている理由の一つが、独自のレビュー記事。ナイルでは自社でアプリを評価する専門のライターを抱え、アプリの使い勝手や機能などをユーザー視点に立った分かりやすいレビュー記事で解説している。ライターの採用基準を厳格にしたり、独自の記事作成マニュアルなどを利用したりすることで、レビューの品質にムラが出ないよう配慮している。今回米国版進出のために設立したフィリピンの子会社には、年内に約30人のライターを社員として現地採用する。
また、細かいカテゴリー分けも人気だ。
アップストアやグーグルプレイでも「教育」「ビジネス」「ゲーム」など100程度にカテゴリー分けされているが、アプリヴに掲載しているアプリは、さらに細かく2000以上に分類されていると言う。
例えば「ビジネス」項目をクリックすると、「タスク管理」「顧客管理」「ファイル・ドキュメント管理」など、7つに分類される。その中から「ファイル・ドキュメント管理」を選択すると、「ファイル共有」「メモ・手帳」などさらに8つに分かれる。そこから「メモ・手帳」を選ぶと「ふせん」「手書きメモ」などまた8つの項目が出てくる。
アップストアやグーグルプレイでは表示されない、自分の欲しい機能に応じたアプリを発掘できる点が支持されている。
操作できない「ランキング」
アップストアやグーグルプレイなどのアプリストアではここ最近、ランキング操作が問題になっている(記事参照:「スマホアプリ、操作されるランキング」)。アップルやグーグルも対応に乗り出しているが、いたちごっこが続いている。
アプリヴの場合、独自のレビューや利用者の投稿型レビューなどを元にランキングを作成するアルゴリズムを採用しており、「(ステマなどを含む)不正なランキング操作ができないよう、独自ロジックに基づいたランキングを表示している」(高橋社長)。
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