ファイナルファンタジーIV コンプリートコレクション
【ふぁいなるふぁんたじーふぉー こんぷりーとこれくしょん】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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バレット スクウェア・エニックス
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発売日
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2011年3月24日
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定価
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UMD版:5,980円 / DL版:4,980円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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廉価版
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アルティメットヒッツ:2012年7月5日 UMD版:3,990円 / DL版:2,100円
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判定
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良作
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ポイント
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『アフター』移植に『FFIV』本編が丸ごとカップリング 双方ともに移植度・完成度が高い 両作の橋渡し的な新規シナリオ『Interlude』も追加 三篇はそれぞれ独立してプレイ可能 単純に『FFIV』の移植としてだけ見てもトップクラスの完成版
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ファイナルファンタジーシリーズ
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概要
FFIVの計6回目の移植作品。
長らくFFIVに関与してきた時田氏は監修に留まり、リメイク版サガ2・サガ3やキングダム ハーツ外伝作のスタッフが中心となって開発した。
また、初のパッケージ化となる続編『ファイナルファンタジーIV THE AFTER YEARS -月の帰還-』(以下TA)とのカップリング移植となっており、『TA』との間をつなぐ橋渡し的なシナリオ『Interlude』が新規収録されている。
移植回数がシリーズ作品中でも多岐に渡ることからくるまたもの移植への批判、バグだらけのGBA版やオリジナル版から増加した高難度のDS版への不評などからくる前評判の悪さがたたって出来を不安視する声が多かったが、良質な移植作品であることが発売後に理解され、見事汚名返上を果たした。
全体の評価点
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タイトルは『IV』『Interlude』『TA』の3つに分かれているが、順番にクリアしなければならないという制約はなく、自由に好きなタイトルから選ぶことが可能。
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続編とのカップリングということで、『IV』自体に初めて触れる人にも無印本編クリア済みだが『TA』が未プレイの人にとっても手に取る価値が十分にある。
各作品ごとの評価
FF4
ビジュアル面(2D)や追加要素等、基本的にはGBA版の移植。
また、一部グラフィックの表現がDS版や『アフター』を意識したものに変わっている。
評価点(FF4)
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戦闘テンポや画面切り替えなどがスピードアップし、快適さが大幅に向上した。テンポの良さは歴代リメイク作の中で随一との声も多い。
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追加要素はGBA版を基準としているためか、それらの好評点も持っている。
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モンスター図鑑、追加ダンジョン、メンバーチェンジなど。
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ATBバー満タン時に順番飛ばしが可能となった。
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後作では普通に搭載されている機能だけに、GBAの時点から望む声は多かった。
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「コマンド実行→入力可」だけでなく「コマンド入力→実行」までの時間もATBバーに表示されるようになった。
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モンスター図鑑が複数のプレイデータからの引き継ぎが可能となった。
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これにより取りこぼしがあっても、以前のデータをロードしてバトルに勝てば登録できるなどありがたい救済措置が取られている。
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後期出荷分(E4版)に準拠しているため、GBA初期(E3)版の深刻なバグは修正済み
問題点(FF4)
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一部コマンド操作の変更
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原作では防御とチェンジ(隊列の切り替え)がそれぞれコマンド欄右左別々に位置していたが、本作では『アフター』に合わせてか『IV』でもコマンド欄右に纏められている。
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オリジナルとは微妙に違うというだけであり、これはそこまで致命的な変化でもないが。
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仕様の基礎がGBA版準拠である事
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アイテム所持数の上限、武器の攻撃力等の数値、GBAで追加されたダンジョンの仕様等、携帯アプリへ移植された際に変更された点も多いが、これらは全てGBA版準拠。
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その為、携帯アプリ版で便利になった点(アイテム所持数上限)が採用されなかった事には不満の声も出ている。
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GBA版で猛威を振るった「ランスオブアベル」は一部のボスには効かなくなる等弱体化されたものの、それでも強力な武器である。
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ランダム成長とパーティ外成長の仕様がGBA版のままである事には、一部やりこみプレイヤーからは不満の声が。
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ソフトリセットからロードまでの時間が長く、吟味が非常にやりにくくなっている。自爆アイテムで全滅した方が早いレベル。
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アフターとの仕様の齟齬
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上記アイテム所持上限、矢の仕様等、同梱されたアフターとは齟齬が生じている。
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同梱して一つのパッケージにするなら、ここら辺の仕様は統一してほしかったとの声も。
賛否点(FF4)
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キャラドット絵を担当したのが渋谷員子氏ではないため、ビジュアルが「RPGツクールのサンプルグラフィックのようだ」という声が特に多く、携帯版同様にして欲しかったという声は多い。
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出来が悪いわけではないが、やはり昔のドット絵に思い入れの深いユーザーも多い。
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一方で召喚魔法が滑らかにアニメーションするようになるなど、GBA以上に出来が良くなったところもある。また、一部の女性型モンスターなどは「更にエロくなった」と好評の声も。
FF4 Interlude
評価点(Interlude)
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FF4の後日談
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『アフター』は十数年とかなり後の話である為、本編の1年後時点でまだ変わらぬ旧レギュラーキャラ陣の姿が描かれている点は『アフター』とは違う魅力。
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『アフター』を予感させるシナリオ
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また何かが起ころうとしている、という予感めいた短編シナリオであり、3作セットとなった本作では、橋渡し的作品として上手く機能している。
問題点(Interlude)
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シナリオが短い
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サクサク進めれば数時間で終わる短さ。
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後日談であるため最初からそれなりのレベルのメンバーでシナリオは進む。アイテムやモンスター等はかなり少なく、RPG的な楽しみは少ない。
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『アフター』をプレイ済みのプレイヤーにとってはプレイする価値がほぼない。
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あくまで『本編終了後』と『アフター』の繋ぎの話しであるため、『アフター』本編をプレイ済みであれば「黒幕は分かってる」「シナリオは短い」「中途半端に終わる」と、楽しめる要素がほぼない。
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言ってみれば『本作が「アフター」初プレイであるプレイヤー向けのおまけ』のようなものなので、仕方ないといえば仕方ないが。
FF4TA
評価点(TA)
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敵モンスターのアイテムドロップ率が全体的に向上(人によっては実感は薄いと言われているが)。
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チャレンジダンジョンでのレアアイテム入手方法が変更された。
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チャレンジダンジョンの成績に応じて宝箱の中身が変化するのは変わらないものの、Wii版までのような「最高成績でも外れがある」という事はなくなった。
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その代わりに一度入手したレアアイテムは再入手できなくなり、アダマンタイトのような有用なアイテムの複数回収はできなくなった。
賛否両論点(TA)
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一部のバンド技の演出変更
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非常にショボくなった技もあれば、逆に派手になっている技もあり、一長一短といったところ。
問題点(TA)
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全員集結後のパーティ外成長とランダム成長の同時廃止。
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パーティ外成長が問題視されていたのは「勝手にランダム成長をされるから」であり、同時廃止は経験値稼ぎの手間を増やす不満点にしかなっていない。元々、ランダム成長自体、数値を吟味するようなやりこみプレイヤーでもなければ気にされない要素である。
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キャラ数が多いため、各キャラごとにレベルアップさせる手間が多く、不満の声が多い。
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1つのパッケージなのに独立仕様の各章
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序盤の章は各キャラごとのそれぞれのプロローグといった体だが、それらのデータを引き継ぐ為には章ごとにセーブデータを残す必要がある。
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結果的に他の章をやった後再度各章ごとにやりこむ事も可能になっていたりもするが、セーブデータ欄は少々ごちゃごちゃしやすい。
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セーブデータの数は40個なので、足りなくなることはない。間違って上書きしてしまうことだけに注意。
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コンフィグも各章ごとに設定する必要がある。
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その為、デフォルトで走るようにしたり、オートモードの為にカーソル位置の記憶を選択しても、各章を始めるごとに設定しなおさなければならない。
一つのパッケージ商品として
全体で共通の仕様等もこちら。
評価点(共通)
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オートモードの追加。
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コンフィグが「きおく」だと各キャラクターが直近に入力したコマンド、「しょき」だと通常攻撃を自動で選択してくれるようになるモード。
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オート時は戦闘速度が早送りになる為、「たたかう」だけで済むような雑魚戦等はコマンド入力の手間すら省ける。
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また、オート時に早送りになる事を利用して、下記問題点にある長い演出も早送り可能。
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一々セレクトボタンで切り替える必要があるのと、他の事をしたいのに勝手に「たたかう」を選択されてしまう危険性はあるが。
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BGMはSFCオリジナル音源とアレンジ音源の2種類から選択可能。アレンジに不満がある人でも原曲を聞ける優しい仕様。
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ただし、アフターで新規収録されている曲はアレンジ音源版しか存在しない。
問題点(共通)
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一部の戦闘中の演出が長くてだれやすい。
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特に問題視されやすいのがファイガ、召喚魔法、メテオ等の一部の攻撃魔法のエフェクトで、SFC版と比べるとかなり冗長になっており、サクサクとバトルを進められた魅力を殺いでいるという意見もある。
当然ながら敵もこういった上級魔法を放ってくるので、テンポのために味方が使用を控えてもあまり意味がない。
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一応、オートモードの高速化を利用して速めることは出来る。
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ソフトリセットに時間がかかる。
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「タイトルへ戻る」といったものがない為、『4』『Interlude』『TA』を切り替える時等にソフトリセットを行うとタイトル画面になるまで地味に時間がかかる。特に不便なのが、別の章を始めようと思ったらタイトルに戻らざるを得ない『TA』。
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各章クリア時にはクリアデータセーブ後タイトルへ戻るが、章ごとにクリア後限定の要素がある為に続けて再度同じ章を始める事が多い。
そしてクリア後の要素を終わらせた後、別の章を始めようとするとソフトリセットするしかない。
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他にも『4』でレベルアップ時のステータス吟味をする際にも不満が出やすい。
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ステータスに拘るプレイヤーの間では「ボムのたましい」を使うなどして素早く全滅し、タイトルに戻ることが推奨されている。
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ギャラリーで閲覧できるイラストレーション(拡大時)の解像度が低い。
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ゲーム内新要素の少なさ
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ゲーム上の追加要素と言えば『アフター』のロストバブイルと『Interlude』のみ。『IV』は実質GBA版のバグを取り除いただけで目新しさがほとんど無い。
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良く言えば原作再現、悪く言えばマンネリ。『IV』自体が何度も移植されてきた事も相まって、過去からプレイしているユーザーを引きつける要素に弱い。
総評
これまで何かしらの難点を抱えていた『FFIV』の移植・リメイク作の中では抜群の完成度を誇り、まさに汚名返上と言える内容。
また、単体でパッケージ化する可能性があった続編『アフター』と纏められており、その上でおまけとして短編『Interlude』も追加されていることは特筆に値する。
考えようによっては『アフター』の移植に『IV』本編が丸ごとついてくるともいえるわけで、なおかつ双方ともに不満の極めて少ない出来であり、大変に満足度の高い一本といえる。
余談
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謎のアイテム「さむい……」
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ミシディアの村にいる状態で決定ボタンを押しながら民家に入るとモンスター入りの宝箱を突如開けてしまい、何故か戦闘になる。その時出てきたモンスターを倒すと手に入るアイテム。それが「さむい……」である。何故か3375158ギルという超高価格で売れる。
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恐らくデバッグ用の消し忘れ。進行を阻害する訳でもなく、ギルを手軽に手に入れたい人には逆に有用なバグになっている。
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2012年12月からiOSにて配信されている移植版FF4は、本作ではなくDS版がベースとなっている。
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2013年11月からiOS及びAndroidにて配信されたアフターも、本作ではなくDS版FF4がベースとなっている。
最終更新:2024年08月09日 16:38