都知事発言でIOCが注意喚起 倫理規定留意促す
2020年夏季五輪招致を目指す東京都の猪瀬直樹知事が、米紙とのインタビューでライバルのイスタンブール(トルコ)を批判したと疑われる発言をし、国際オリンピック委員会(IOC)が招致都市に注意を求める事態となったことが29日、分かった。IOCは倫理規定で他都市を批判したり、比較したりすることを禁じている。
猪瀬知事は27日付のニューヨーク・タイムズ紙で「イスラム教国が共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」などと発言した。記事によると、インタビューは通訳を介して行われた。
IOCは声明で「翻訳では知事が何を意図したか全部は明確でないが、すべての候補都市に招致プロセスに関する規定に留意するよう求める」との方針を示した。
記事中で、知事は日本社会の高齢化に関連して「トルコの人々も長生きしたいなら、日本でわれわれが持つような文化をつくるべきだ。若者が多くても、若いうちに死んだらあまり意味がない」とも語った。
東京招致委員会の鈴木徳昭戦略広報部長は「こうした記事が出てしまったことは非常に残念だ。われわれとしては規則にのっとり今後も優劣の比較やネガティブキャンペーンがないように細心の注意を払い、相手をリスペクト(尊敬)してやっていく」と述べた。
20年五輪招致はマドリードを加えた3都市が争い、開催都市は9月7日のIOC総会(ブエノスアイレス)で決まる。(ロンドン=共同)