鹿児島県、おれんじ鉄道に20%値上げ要請へ 経営支援問題
熊本県八代市と鹿児島県薩摩川内市を結ぶ第三セクター、肥薩おれんじ鉄道(熊本県八代市、淵脇哲朗社長)の経営支援問題で鹿児島県は26日、同社に20%程度の運賃引き上げを求める考えを明らかにした。同日の鹿児島県議会で県の古川仲二企画部長が答弁した。
同社は乗客数の減少や燃料費の増加などで経営不振が続いており累積赤字は2013年3月期で11億円を超える。一方、採算改善のための運賃改定は一度も実施していない。古川部長は「運賃は他の並行在来線と比較しても低い」とした上で「利用者に負担増をお願いする」と理解を求めた。
引き上げ時期について、鹿児島県は「なるべく早い時期に話し合い実施したい」と話す。熊本県では同路線の通学客が利用者の約7割を占め、負担が重いため「経営改善の選択肢の一つとして(運賃の改定について)協議していきたい」と慎重な姿勢を示している。
鹿児島県は同社の運賃改定案について既に熊本県に伝えているという。今後、両県と沿線自治体は引き上げを含めた同社の経営改善策について協議する意向だ。
同社は「運行維持のためには、中期経営計画の推進、赤字の改善、他の第三セクター鉄道の運賃を踏まえ、運賃改定の検討が必要と考える」とコメントした。
肥薩おれんじ鉄道は現在、4月からの消費増税分の運賃引き上げを九州運輸局に申請中。今回の鹿児島県の引き上げ案には各自治体の合意が必要だが、実現すればさらに利用者の負担が増す。