https://www.j-cast.com/2017/06/08300108.html?p=all
http://www.huffingtonpost.jp/nobuo-gohara/kake-academy-issue_b_17447858.html
(1)告示
そもそも国民には学問の自由があって、何らかの学問を修めるのを国が妨げてはならない。
仮に何らかの学部に学生が大挙して押し寄せ、その資格を持つ人材が世に溢れてもそれは市場原理であり国が介入すべきではない。というのが今の政府の大筋の方向性。
しかし大学への補助金も財源が有限であり既得権益層も競争相手が増えることを望まない為か、文科省が「歯学部・獣医学部・船舶職員養成学部の新設申請を受け付けない」という告示を出している。(告示とは一般名詞だが、この件の議事録で登場する「告示」は暗黙のうちにこの新設却下の告示の事を指している場合が割とある)
ここで暗に問題となっているのは、日本の教育の管轄を任されている立場であるに過ぎない文科省が獣医師市場の需給バランス調整弁という市場介入をするのは越権行為であるという点だ。
(2)挙証責任その1
上で挙げた対立の内容に対して政府から文科省に対して「その新設却下告示に合理的理由がないなら取り下げよ」と命じた。
これがよく言われる「挙証責任」であり、文科省はこの告示に付いてまさか「私が獣医師市場の需給バランスを調整したいという合理的理由があります」などと答えるわけにはいかない。
2015年6月8日国家戦略特区ワーキンググループ議事録によると
文科省の牧野課長補佐は「関係者も納得するような、これは新しい構想だというようなものを具体的な需要の数までも示した上でお示しいただければ、こちらとしても一緒に検討していきたい(=獣医学科を新設する必要があるとあなたが立証できるなら検討する)」と言っている。
これに対しWGの原委員が「挙証責任がひっくり返っている」と評した
整理すると、文科省がそもそも「新設を認めない正当性を立証せよ」と命じられている状態で「新設する正当性を立証してくれたら検討します」と反論した形になっているので「挙証責任がひっくり返っている」という表現がされた。
ここの問答が論点であり
・文科省は結局「新設を認めない正当性」を立証できなかったので、そもそも条件を付けれる立場にない。よって「新設する正当性の立証」を求める事はできない。
・文科省は「新設する正当性の立証」を求める事ができるので後続の閣議決定内容で立証に関わる条件を詰める必要がある。
(3)閣議決定
1. 現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し
2. ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり
3. かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要の動向も考慮しつつ
という旨の閣議決定がなされた。これは(2)での「新設する正当性を立証」を求める際にその正当性の根拠として何を求めるかという定義を行った形になっている。
これが世に言う「石破4条件」であり、獣医師会が石破さんに頼んで作らせたものであるというのは獣医師会が公開している資料からも分かる。
http://nichiju.lin.gr.jp/mag/06809/a2.pdf
『石破担当大臣と相談をした結果,最終的に,「既存の大学・学部で対応が困難な場合」という文言を入れていただきました』
これは獣医師会が行政を歪めていると言えなくもないが、そこの論点はさておくとしてここに続いて興味深い記述がある。
『ただし,今後もこの問題は尾を引いてくると思います.つまり,日本の最高権力者である内閣総理大臣が作れと言えばできてしまう仕組みになっておりますので,こういう文言を無視して作ることは可能です.内閣がもしこれを行うのであれば私たちは現在の内閣に対して敵に回らざるを得ないのですが,獣医師会としては抵抗勢力にはなりたくない.抵抗勢力としてマスメディア等々で取り上げられ,獣医師会は抵抗勢力である,訳の分からないことを言っている団体だということになりますと,世論の風当たりは強いものになります.』
つまり獣医師会はこの4条件に関する危うさを初めから認知しており、下手に抵抗すると世間を敵に回すものであると自覚している。
(4)挙証責任その2
加計学園は獣医学部新設の提案の資料を提出(挙証)し、結果として認可が通ったので今治市での建設工事に着工して現在に至る。
ここにも論点があり
・加計学園は4条件を正しく満たしている(感染症や化学兵器などは既存の大学で対応できない)為、認可が通って当然である
・加計学園は4条件を満たせていないので通らなかったが安倍が行政を歪めたから認可が通った
後者に関していうと、7/10の閉会中審査において前川喜平氏は「文部科学省として、そのワーキンググループで満たしていないという主張はしていることは、お読みになれば分かります」と主張しているが、ワーキンググループの議事録の残る資料を探っても
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc_wg/h28/shouchou/160916_gijiyoushi_2.pdf
ぐらいしか見当たらず、この議事録の中には前川氏の主張を裏付けるような記述は見当たらない。
実際に文科省が丁寧に4条件に基づいて却下したかどうかの真偽は別にして、医師会も認めるように特区は『日本の最高権力者である内閣総理大臣が作れと言えばできてしまう仕組み』であるため4条件はそもそも無視する事が可能である。
もちろん総理大臣としては穏便に済ませるため4条件に合致している上で認可を出すのが理想だろうが、わざわざ行政を歪めなくても仕組み上無視可能であるので何か別の要因で急かされてパスするという事はありうる。
民進党などは主にここを争点にして特区制度そのものを批判するに至っている。
「総理大臣が合法的に閣議決定を無視して決定してしまえるならこの制度自体が政府のオモチャじゃないか」という論法であり、一定の理はあるように見える。
文科省内の対立等もあり、認可すべきだと考えた文科省内の人が例の「総理の意向」文書の中で「我々が抵抗しても総理がGoサインを出したら仕組み上通るし、多分Goサイン出す(忖度)んだから大人しく従おう」と説得しておりそれが行政を歪めたとする主張に関しては当たっているところもある。総理が自分の責任で反対を押し切ってGoサインを出すか、文科省がそもそも反対しないで進めるかで結果としては同じでも過程が異なるからだ。
実際安倍首相は国民のご機嫌取りに必死なので「学ぶ権利」の最大化の方向へ進めようとするだろう事は「お友達」云々関係なくわかりきっている。
だがそもそも(2)にあるように『文科省が「新設を認めない正当性」を立証できない時点で、「新設の正当性が立証できるなら認める」という文科省側の反論は無効であり(3)(4)はまるっと無意味である』という主張もそれなりに理はある。
「国民の学ぶ権利」vs「獣医師会の抵抗」という構図で前者に正義がある以上は、決着は国民のリテラシにかかっている。
「国民の学ぶ権利」という題目を大上段に構えるなら、この対立はいずれ前者(政府)が勝って然るべきである。
本来は需給バランスに国が介入するべきではないし、どうしても獣医師の需給バランスを調整したいなら学部入学ではなく国家試験合格のハードルを上げる事で獣医師の質も上がるし国民の学ぶ権利も阻害しないため合理的だからだ。
今回の一件がどう決着するにせよ、仮に政権交代が起きようと「国民の権利を広げる」という方向で同じ議論が繰り返されるだろう事は想像に難くない(市場原理に任せる原則は小泉政権の頃から変わらない)。
├─立証できないから加計学園の獣医学部新設を認めるべき ← 安倍内閣の落ち度なし
└─(3)立証する義務はなく、逆に4条件に照らし合わせて認めるか否かを判断する権利があり、加計学園は4条件を満たして…
├─いるから現在開学に向けて建設中である ← 安倍内閣の落ち度なし
└─いないにも関わらず認可が通ってしまった。安倍内閣は直接何もしていないがどのみち安倍内閣は認可を押し通すだろうという忖度によって文科省は認可を通してしまった ← 安倍内閣によって行政が歪められた(?)
となる。
加計の自費で作るならどうぞお好きにだが、補助金をがっぽがっぽ受け取っておいて学問の自由だ市場原理だは納税者として受け入れられんわ。 君の理屈なら低コスト低レベルの大学を...
政治家としての信用ってメディアが作り出してる幻想じゃん。 「テレビが連日騒ぎまくってるから何か悪い事したんだな」って思い込んじゃう系かな。 > ぶっちゃけ本音では安倍や萩...
国籍問題は下らなくないとか言いそうな増田w
蓮舫の二重国籍の話? あれは心底どうでもいいと思ってるよ、民進党のブランド戦略の一貫だから賛否あるだろうし、民進党支持してないからどうでもいい。