山形県米沢市のNPO法人「から・ころセンター」。2階建ての借家に毎月1回、ひきこもりの子を持つ親が集まる。室内にはギターや漫画、テレビゲーム。ここは生きづらさを抱えた若者の居場所でもあるのだ。 西澤博之(34)は小学生の時に落ち着きがないとされ、担任の隣の席で1年間授業を受けた。「親の愛情不足」。母珠実(60)は教頭の一言に打ちひしがれた。 発達障害がまだ知られていない時代。博之は中学で再び厳しい担任に当たり、自宅にこもりがちに。父博(60)は「焦っても仕方がない」と割り切ったが、内心は「仕事にかまけて現実から目をそらしていた」という。 親たちにとって、から・ころは貴重な「毒出しの場」。他の家族とお茶を飲みながら愚痴を言い合い、悩みを聞いてもらう。クリスチャンの珠実は教会で「親が安心することが、子の平安につながる」と教えられ、自分を責めるのをやめた。 博之は昨年、就労支援の一環で、菓子工場