直径約10万光年に及ぶ天の川銀河の中心は、地球から見るといて座の方角にあり、強い電波やエックス線を放つ「いて座Aスター」が観測されていた。これが大質量の小さな天体であり、ブラックホールとみられることを示した2人の研究者が2020年にノーベル物理学賞を受賞した。ただ、撮影できておらずブラックホールであるとの確証はなかった。 そこで研究グループは、日本が主導する南米チリのアルマ望遠鏡など、世界6カ所にある計8つの電波望遠鏡を連携させ、仮想的に直径1万キロに匹敵する高性能の望遠鏡「イベント・ホライズン・テレスコープ(事象の地平面の望遠鏡)」を構築。2017年4月、いて座Aスターを観測した。5年間の解析作業を経て、輝くガスのリング状の構造と、その中の光を放たず暗い領域の画像が得られた。この暗い領域がブラックホールの本体で、いて座Aスターの正体を視覚的に実証した。 質量は、周囲の星の運動から求められ