一瞬で終わる瞬発性の運動では、エネルギーは、糖からではなく、筋肉に蓄積されているクレアチンリン酸の分解によって生まれる。運動のあとで、再び クレアチンリン酸は糖をエネルギーにして元に戻る。クレアチンリン酸は、瞬時のエネルギーであるため、数秒〜十数秒間くらいしか使えない。すぐに、枯渇し てしまうので、短距離走では、クレアチンリン酸に続いて糖が解糖系によって生産するエネルギーが使われるようになる。 糖をエネルギーとして利用するシステムは大きく2つの段階に分かれる。一つは解糖系で、グルコースがピルビン酸にまで分解される過程でエネルギー が生産される。この過程は、エネルギー生産の効率が高くないが、酸素を全く必要としないという利点がある。強い運動では、酸素を充分に取り込む余裕がない ので、このような酸素のいらないエネルギー生産システムは重要である。もう一つの段階は、ピルビン酸が、さらにアセチルCoA