著者は、朝日新聞の「農業記者」のベテランとして有名だった。私が、かつて農業補助金の取材をしたときもすでに、その道の第一人者だった。そのとき取材してみて、日本の農業の実態が、著者の書いている以上にひどいものであることを痛感した。 どんな役所でも、何か必要な仕事というのはある。あの社保庁でさえ、つぶすわけにはいかないから民営化する。しかし農水省には、そういうコアとなる仕事がないのだ。農業補助金の用途を現地で取材すると、客のいない温泉ランドや「農業情報化センター」と称して使われないPCが何十台も並んでいる施設などばかり。著者もいうように、かりに明日、農水省を廃止したとしても、何の支障もないだろう。そんな官庁に毎年、3兆円以上の予算がついているのである。 松岡を一躍有名にしたのは、1994年のウルグアイ・ラウンドの「補償金」をめぐる騒動だった。このとき鉢巻きを巻いて座り込みをしたりして「戦闘隊
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