我々は跳び箱が好きである。跳び箱に憧れる。何故か。それは、跳び箱が常に上を向いているからである。常に少しでも上に行こうとしているからである。 今まで数え切れないほどの人間が、跳び箱の段を少しでも増やそうと努力してきたし、実際にそれで随分高いところまで行けた。といっても現代の話である。 古代でも跳び箱は盛んであったし、実際に段も増えていったし、次第にはピラミッドになった。ピラミッドになった。 少しでも高いところに行こうとしたらピラミッドになったし、これは人類の普遍的な願望であるし、実際にそうなった。 とにかく高いものは飛び越えたいし、それがピラミッドを作るうえでの動機付けになったし、実際にそれでそうなった。でもピラミッドの高さは一定である。それは何故か。 人間の限界である。人間の体力的な限界だ。あれだけ大きなものを飛び越せる訳がない。だから、あそこで終わった。あれが人間の限界だし、ピラミッド