円相場が一時、1ドル=160円台に急落したニュースを伝えるモニター=東京都中央区で4月29日、渡部直樹撮影 長引く物価高が国民生活を圧迫している状況が鮮明となった。 今年1~3月期の実質国内総生産(GDP)は、年換算の成長率がマイナス2%に落ち込んだ。訪日観光客の増加などコロナ禍から回復する動きが一部で見られるが、景気全体は停滞したままだ。 GDPの半分以上を占める個人消費の不振が大きい。減少は4四半期連続となり、リーマン・ショック以来という異例の事態だ。 岸田文雄首相は賃上げが物価高を上回る「経済の好循環」を目標に掲げ、「株価など明るい兆しが随所に出てきた」と強調している。だが国民の実感とは程遠い。 物価上昇を差し引いた実質賃金は、3月まで24カ月連続のマイナスに沈んでいる。春闘での賃上げと6月から始まる定額減税の効果が表れ、夏にはプラスに転じると言われてきたが、年末以降に遠のくとの見方