「オリンピックは平和の祭典である」という建前論も、「そうは言ってもそこには政治的な思惑もまた渦巻いている」という言説も、現代人にはもはや聴き飽きたステレオタイプであろう。 しかし、今月7日にロシア南部のソチで始まった冬季オリンピックほど、政治的利害が鋭く交錯しているオリンピックは珍しかろうと思う。 何故、ソチなのかそもそもソチという場所でオリンピックが開催されること自体が「政治」の産物であった。 ソチといえばソ連時代から黒海に面した温暖な保養地で、かつてのスターリン書記長やプーチン現・ロシア大統領も別荘を構える。 要するにあまり冬季オリンピック向きの土地ではない。 その証拠に今回のオリンピックも雪不足に苦しんでおり、人工降雪機を大量動員したばかりか、アルタイ地方のシャーマンを呼んで雪乞いの儀式まで行われた。 それでもこの地域でオリンピックが開催されたのはひとえにプーチン政権の政治的思惑によ