ロケットは普通、地上から打ち上げられる。JAXAのH3も、スペースワンのカイロスも、インターステラテクノロジズ(IST)のZEROも、みんなそうだ。しかし、気球を使って成層圏まで運んでから打ち上げるという、ちょっと変わったロケットがある。それが、日本の宇宙ベンチャー・AstroXが開発している「FOX」ロケットである。 気球から打ち上げるロケットのイメージCG (C)AstroX この打ち上げ方は、ロケット(Rocket)と気球(Balloon)の単語を組み合わせ、ロックーン(Rockoon)方式と呼ばれる。世界ではまだ誰も宇宙到達を成し遂げていない、チャレンジングな方式だ。 AstroXはなぜ、この方式を選んだのか。11月9日に福島県南相馬市で行われた打ち上げ実験を取材してきたので、さっそくレポートしよう。 ロックーン方式のメリットとは 衛星を地球周回軌道に乗せるためには、秒速約8kmと