医学の地平線 第133号 新型コロナウイルスと遺伝子 新型コロナウイルスは世界中に驚異的な勢いで広がっています。今、我々が努力すべきことは、その拡散をできる限り抑制し、その間に予防薬、治療薬、ワクチンを開発することです。 多くの国々に広がり、人口を減少させるほどの死亡率を示した例として、14世紀のヨーロッパに広がったペスト、20世紀の初頭に起きたスペイン風邪があります。それ以外にも、コレラ、天然痘、結核など感染症が人類に大きな影響を与えた例は数知れずあります。 その影響は遺伝子にも刻まれています。例えば、第6染色体短腕に存在するHLA (human leukocyte antigen)遺伝子群は過去の感染症の影響を大きく受けた遺伝子と考えられています。それ以外にも免疫グロブリン遺伝子、T細胞受容体遺伝子も感染症に大きく影響しすると考えられますが、これらの遺伝子は体内で変化することができ(体