世界各国・地域をモチーフにした着物を制作し、業界再興のきっかけ作りを目指す「KIMONOプロジェクト」が岐路に立っている。お披露目の場として目標に掲げた東京五輪の開会式など関連行事での活用はかなわなかった。さらにプロジェクト内の対立が表面化し、法廷闘争に発展した。全国の制作者の思いなどが詰まった「KIMONO」が漂流しかねない状況に陥っている。 一定評価も不採用プロジェクトは平成26年、福岡県久留米市の呉服店「蝶屋」の高倉慶応社長が創設した一般社団法人「イマジンワンワールド」が進めている。「各国の着物を身にまとった人が手をつないで輪を作り、世界に向け平和と友好のメッセージを発信する」とのコンセプトを掲げ、東京五輪開会式でのお披露目を目標に、振り袖と帯の制作を全国各地の職人に呼び掛けた。世界213の国・地域をモチーフにした着物の制作費は4億円超で、プロジェクトに賛同する企業や個人から募った。