【ソウル=中野晃】韓国の国宝第1号であるソウルの「南大門」(正式名・崇礼門)の修復作業で、安い資材を使うなどの「手抜き」疑惑が浮上した問題で、朴槿恵(パククネ)大統領は15日、辺英燮(ビョンヨンソプ)・文化財庁長官を更迭した。大統領府関係者が明らかにした。 南大門は2008年2月の放火で楼閣がほぼ焼け落ち、5年がかりの修復作業を経て、今年5月、朴大統領も参加して完工式が開かれた。その後、彩色がはがれ落ちたり、材木や瓦に亀裂が入ったりしていることが発覚。韓国紙が今月、「顔料や木材などの資材に安物を使っていた」といった疑惑を報じ、朴大統領が徹底的に調査し、関係者の責任を厳重に問うよう指示していた。 辺長官は高麗大教授で、朝鮮時代の絵画史が専門。朴大統領が抜擢(ばってき)したが、就任から8カ月で解任された。聯合ニュースは「疑惑の浮上にも、積極的に対処する姿勢が見えなかった」と指摘している。