テレビ報道の〝強み〟を封じた安倍自民 「抗議文」「要望書」で音声も消えた 水島宏明 ジャーナリスト、法政大学社会学部教授 安倍政権のテレビへの「コワモテ」は2006~07年の第1次政権から突出していた。 「やつらは本当にやばい」 「一線を越えて手を突っ込んでくる」 07年頃、ある民放キー局の経営者から直接聞いた言葉だ。「やつら」とは当時の安倍晋三首相と菅義偉総務相の2人。「一線」とはメディアと政治の間に引かれた線だ。メディアは国民の「知る権利」を背景にした権力監視が〝役割〟。一方、政治はメディアから監視・批判されるのが〝役割〟。歴代の権力者もこの線引きを尊重し、領分をわきまえてきた。ところが2人はこの線をやすやすと越え、威圧的に介入しようとする。 前述の経営者は「不祥事は起こすな」「起こせば政治家につけ入られる」とも語った。07年、関西テレビの『発掘!あるある大事典Ⅱ』での捏造事件をきっか