日米同盟を理由にイラク戦争を支持した小泉政権の決断は正しかったのか。首相官邸で自衛隊派遣を統括した柳沢協二元内閣官房副長官補が、この問題の検証を求めている。日本では過去になりつつあるイラク戦争にこだわる訳は? 英ブレア政権の戦争指導に詳しい細谷雄一・慶応大教授と論じ合った。【立会人・岸俊光編集委員、写真・塩入正夫撮影】 ◆政策決定者の論理見えぬ--元内閣官房副長官補・柳沢協二氏 ◆断罪でなく政策のために--慶応大教授(外交史)・細谷雄一氏 ◇限界にきた同盟外交 柳沢 防衛官僚としての私の最後の10年は変動の時代でした。冷戦が終結し、91年に湾岸戦争が起き、93年には北朝鮮の核開発の危機があった。日米同盟の再活性化が求められ、防衛協力のための指針の改定作業をしました。 次の転換点は9・11テロ事件です。イラク戦争が始まり、防衛研究所所長として専門家を集めてフリーディスカッションを何度も開きま