鉄道ブームといわれて久しい。同じくブームだといわれる新書とのリンクも多く、最近でも野田隆『テツはこう乗る』(光文社新書)、宇田賢吉『電車の運転』(中公新書)などがベストセラーとなった。手前味噌で恐縮ながら、僕も『私鉄探検』(ソフトバンク新書)という本を出させてもらっている。 本書もまた鉄道をテーマにした新書だが、その冒頭には、鉄道とは一見関係がないと思われるデータが出てくる。 それは、昨年、文科省が全国の小学6年生を対象に行なった社会科の学力テストの結果だ。都道府県名から地図上の位置を選ぶ問題では、全体の正答率が55%しかなかった。また、歴史上の人物を業績から選ぶ問題では、大久保利通、木戸孝允、大隈重信などの正答率が30%以下だった。 このことは、いまの子供たちが、日本の地理や歴史、とりわけ明治以降の近現代史に弱いということの一つの証明ともいえるだろう。著者は、歴史を学ばなければ、現在を語