東京大が検討している20年ぶりの学費引き上げについて、教員からも「拙速」との声が上がっている。「首都圏の裕福な家庭」という属性の偏りも指摘されるキャンパスから、経済的に恵まれない世帯や女子、地方出身者など、学生の多様性がさらに失われる懸念もある。運営費交付金が年々削減されるなか、東大はどうすればいいのか。3人の教授に聞いた。【西本紗保美】 関連記事・東大の学費引き上げ案に学生が反対デモ 学長は対面での対話を拒否 富裕層に有利な構造を助長か 東大大学院教育学研究科の本田由紀教授(教育社会学)は、東大生の8割が男子で都市部の裕福な世帯出身者が多いとされる点を踏まえ「東大は既に特定の地域、性別、社会階層出身の学生が多く、値上げすればその傾向が一層強まりかねない」と問題視する。 複数の関係者への取材によると、東大は学部・修士課程の53万5800円と博士課程の学費52万800円を、2025年度からそ