→紀伊國屋書店で購入 表題はセンセーショナルだが、論旨は明解である。森を出て、見通しのいい草原で暮らすようになった初期人類は肉食獣のかっこうの餌食にされた。ヒヒのような牙をもたない非力な彼らは生きのびるために知能と言語を発達させるしかなかった、というわけだ。 ヒトは肉食獣に食べられないために知能を発達させたという指摘に、なるほどと思ったのはわたしだけではないだろう。ほとんどの日本人は、地動説を抵抗なく受けいれたように、人間=獲物説をすんなり受けいれると思う。 ところが、西洋人は違うらしい。万物の霊長であるヒトが肉食獣の餌食にされるはずがないと決めこんでいるようなのだ。いや、ヒトだけではなく、サル全般が肉食獣の餌食になることはないと信じられてきた。事実はまったく逆なのに。 本書は第三章から七章まで全体の半分の量を費やして、ヒトを含むサル類が豹やチーター、ピューマ、ライオン、虎、熊、狼、ハイエ