「ペンは剣よりも強し!」って最近とんと耳にしなくなったが、あれはやはり義務教育のあたりで先生が口を酸っぱくして云い聞かせるものなのであって、大人同士の会話で使われないのは昔からなのだろうか。そもそも言論の力で暴力をねじふせることがかなった例などありはしまい。よくて言論が暴力を喚起し、これをもって別の暴力をはねのけたぐらいの話であろう。 政治学の教室ではかろうじて「ハードパワー」(軍事力)「ソフトパワー」(経済力、たまにちょっとした文化的発信力)の相互補完、機先なんてことが論じられていると思うのだが、一般に昨今の世は迫る剣の脅威に対していきおい「目には目を、歯には歯を」の論調であって、小学校の先生がこれを云うと教室は崩壊というか弱肉強食の世界になる。国際関係論ではこのモデルを「パワーポリティクス」といって、そうした考え方に立つ主義のことをリアリズムと呼び習わしている。 あろうことか「リアリズ