ウォルフガング・ティルマンス(写真家 1968〜)が、雑誌「BRUTUS」の2004/8/15号で、以下のように語っている。 「写真は技術的なだけではなく、心理的なメディアだ。(中略)もしも、誰かが僕のような写真を撮りたいとするとそこには、僕のような写真を撮りたいという『欲望』が見えてくる。それが、その写真の語っているところで、その写真はまったく僕の写真のようではない。」 要約すれば、「ティルマンスのように撮ろう」として撮ると、ティルマンスのように撮れるわけではなく、「ティルマンスのように撮ろうとしている私」が、写真には写るというのである。 写真を撮り始める動機は人それぞれであろうが、はじめは何を撮っても楽しかったのが、あるときから「上手に撮ろう」とか「人に褒めてほしい」と思うようになり、次第に「何を撮っていいか分からない」となる人が、けっこうな割合でいる。 これは「これを撮りたい(Wha