藤田 今回は、新しく創刊された批評誌『ゲンロン』1号を扱います。編集長は、批評家の東浩紀さん。 飯田 特集は「現代日本の批評」と小特集「テロの時代の芸術」の二本立てですね。ここでは前者について扱っていきます。 藤田 東さんは、ある時期から独立して出版社を立ち上げ、「批評」の場をご自身で作られて来ようとされてきた方ですね。そして今回、特集が「現代日本の批評」ということで、かつての柄谷行人、浅田彰、蓮實重彦、三浦雅士の行った座談会『近代日本の批評』を意図的に反復されているわけですね。 賛否はあれど、東浩紀さんは、ゼロ年代の批評を代表するほどの影響力を持った人なわけですが、本書は、彼は、現在は人文知や批評が読まれないような状況にあると認識しながら、日本の批評の歴史を背負おうとしている……という本なわけです。 隠す必要もないと思うので言いますが、ぼくも飯田さんも、東さんの影響をデビュー当時強く受け