コンビニ売りの単行本であしたのジョーの金竜飛戦を再読したんだが、このエピソードでジョーが勝利に至るまでの仕掛けが良いのだ。これはもうトリックと言っても良いかもしれん。 体が成長したことによりバンタム級に残ることが困難になったジョー。しかし自分と同じ階級で戦うために死の減量を試みリング上に果てた力石への想いから、ジョーもまた命を削る減量の道を選ぶ。そこに現れたのが次なる対戦相手の金竜飛。金は戦争の中で本物の飢えを体験し、食料のために実の親を手にかけてしまうという地獄を経験している。地獄の中で食への欲望が摩滅した金は試合直前ぎりぎりまで食の欲望と戦いながら減量を続けたジョーをあざ笑う。お前はぬるま湯の中にいるのだと。 この試合でリング上を支配するテーマは「本物の地獄を知る男」VS「所詮スポーツの中しか知らぬ男」であり、これはどう見てもジョーに勝ち目はない。事実ジョーは一方的にパンチを浴び続け、