「中田課長。今日、時間あったら飲みに行きませんか」 最近の若手新司クンはちょっと変だ。少し前なら、仕事が終わるやいなやそそくさと帰宅していた。 「いいけど、早く帰らなくていいのか。子どもも生まれたばかりなんだろ」 「だから帰りたくないんスよ…」 若手クンがビール片手に涙目で語った内容は、次のようなものだった――。 以前はかわいく優しかった妻が、長男が生まれてから変わってしまった。いつもカリカリ怒っているし、自分を邪魔者扱いする。『汚い手で赤ちゃんに触らないで!』『うるさいからゲームやめて!』『育児を手伝ってくれないなら、せめてどっか行ってて!』といった具合なのだ。 「このあいだなんて、夜遅く疲れて帰ってきたら『今、寝付いたばっかりなのに起きちゃったじゃない!』って怒るんです。いくらなんでもヒドイですよ」 離婚も真剣に考えている、という。 中田堅二課長は遠い目になった。自分たち夫婦にもそんな