生体のフラクタルゆらぎとその機能 山本義春 June 6, 1998 はじめに 手首に指をあてて、時計をみながら脈を計ってみる。最近の時計は、 たいがい秒針が「カチッ、カチッ」と動くか、デジタル表示が1秒毎に 更新されるものが多いので、脈拍すなわち心臓の拍動と「変化−停止」 を規則的にくり返す時計との類似性は明らかである。このような 変化のくり返しをリズムと呼ぶなら、確かに心臓の拍動はリズミック である。 ただし、心臓の拍動によって振子の等時性が発見されたという 逸話の真偽のほどはともかくとして、少なくとも心拍動は等時的ではない。 心電図のR波と呼ばれる特徴的な波形の出現する時間間隔を計測して 1拍毎に表示してやると、図1Aにみられるように一見不規則ともいえる 変動を示すのである。すなわち、心拍リズムは大きく「ゆらいで」いる。 図1Aは、ヒトの安静仰臥位における1拍毎のR-R間隔の 変動(
情報ハイウェイも大渋滞 !! 物理学がさらけ出す憂うべきビットの世界 DIgital Highway Traffic Jam 20世紀, 人々の生活はモータリゼーションとともに飛躍的に向上した。そして21世紀, 情報ネットワークの発展は未知なる世界に我々を誘おうとしている。それぞれの「高速網(ルビ:ハイウェイ)」をもち, そのうえを“流れ”ていく車と情報。物理学の現場はこの“流れ”について各々に研究が進められてきたが, ここにきて意外な同一性が発見されのだ。「情報ハイウェイも渋滞する !! 」。この結果が意味するところとは。物理学の最先端からビットの世界を眺望し、来るべき21世紀を予見する。 words 田口善弘 Yoshihiro Taguchi この世には「ゆらぎ」【*1】というものがある。人間はゆらぎを嫌うものだ。たとえば, 列車の時刻表。世界に名だたるJRといえども決して正確に列車
大学への研究費配分に関するネットワーク的考察 1.はじめに 最近、ネットワーク大学コンソーシアムの共同授業で私が担当した講義の中で、生命科学のネットワーク的考察による「まとめ」を試みたが、その過程でBarabasiらの業績を使って研究費配 分の日米比較を行ってみたところ(生命科学とは関係ないが)、意外な側面が見えてきたので、ここに別に紹介してみる。 2.2つのネットワーク 現在ネットワーク研究者や社会科学者の間で有名に なっているBarabasiらの業績を紹介する必要がある。NatureやScienceなどに2000年ごろより精力的にネットワーク分析について報告してきた彼らは、「Linked」という一般書を著わし、その 日本語訳がNHK出 版から2003年 の初めに「新ネットワーク思考」というタイトルで出版された。この本では、生命科学の分子レベルのネットワークから経済や社会的なネットワーク
言語テキスト処理に関しては,情報科学分野でも盛んに研究されている。そこで の目的は,古典的には自動翻訳であり,また最近では自動要約,情報検索,テキ スト分類など多岐にわたる。[7,8,15] これらの手法は,当然,言語学また文学研究によって活用されるべきであろう。 例えば,先にユールのK特性値について触れた。この場合,ユールは語の頻度に ついて,ポアソン分布をモデルとしていた。しかしながら,ポアソン分布では, 事象が独立に生起すると仮定している。しかしながら言語テキストの場合,その テキストのテーマをなす語は,一度現れるとくり返し使われる傾向がある。す なわちその語は独立に現れるのではない。 ところが,これを逆手に取った解析手法がある。語を,内容に依存しない「一般 語」(日本語では「ほとんど」や「このほど」などの表現)と,内容に依存する度 合の高い「内容語」(例えば「捕鯨」,「遺伝子」)に
はじめに より抜粋コンピュータは現在,情報を処理する機械として,インターネットやワープロ,メール,ゲーム機,銀行の現金自動支払機などを通して日常生活に深く浸透しています.そのような中で,コンピュータとはそもそも計算を高速に正確に実行する機械であるという事実は忘れ去られています.しかし,コンピュータがもつこのような能力なしには,現在の科学技術は有り得ないといってよく,たとえば火星にロケットを着陸させてロボットで火星を探索するなどといったことはとうてい不可能です. もちろん,コンピュータは,書かれたプログラムに従って忠実に加減乗除の計算を行っているだけなのですが,四則演算を行うだけでも想像を越えるような難しい計算が可能であり,その結果,科学技術の発展に大いに貢献しています.そして,こういった科学技術に現れるさまざまな計算を,コンピュータで計算できる四則演算に直す場合の基礎になるのが数値計算法で
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